生きていた音源
【8月13日特記】 今どきテープである。我が家にカセット・テープがかかる機械は1台しかないのだが、そこに一昨日、妻が久しぶりに見つけた愛聴版テープを入れて聴いていた。
妻が結婚直前に勤めていた音楽系の会社が、百貨店の催事がらみの仕事を受注した時に BGM に使った音楽なのだそうである。
表面と裏面(などと言っても今の若い人には何のことやら分からないだろうが)に別のアーティストが録音されているのであるが、どちらもひと言で括ってしまうなら“コンテンポラリー・フラメンコ”である。
スペインに留学していた経験のある妻が、その BGM を耳にして興味を持ち、「あの曲は何?」と訊いたら担当の社員がテープに落としてくれたという。
表面が Ketama で裏面が Raul Orellana。確かにいずれも良いアルバムである。フュージョン/ロック寄りのフラメンコに、ちょっとハウスっぽいリズムも取り入れてある。
しかし、テープである。いずれこれは劣化して聴けなくなるなと思ったので、多分10年くらい前かなと思うのだが、どこかにデジタルの音源はないものか、僕が一生懸命探したことがある。
しかし、街の大型 CD 店、Amazon、TSUTAYA、Mora ──どこにもなかった。それでそのままになっていた。
ところが、そのテープを一昨夜妻が見つけ出して聴いていたのを僕が聞いて、今なら多分 iTunes にあるのではないかと思い立って検索してみたら、果たして一発で見つけた。
ただし、Ketama のほうは元のテープからしていろんなアルバムから編集してあったらしく、同じ構成のアルバムはない。おまけにテープに書いてあるタイトルは全部邦題で、iTunes のほうは全部スペイン語なので、僕にはどの曲とどの曲が同じなのかさっぱり分からない。
妻に読ませようとして一覧を印刷したら、iTunes に Ketama の作品はなんと 194 曲もあるではないか!
一方 Raul Orellana のほうはオリジナル・アルバムは1作しかなかった。いかにも時代を感じさせるのは、当時は多分数曲入りのアルバムだったのが、オリジナルに加えてなんとかバージョン、かんとかバージョンとバージョン違いの同曲が複数収められて、合計十数曲に膨らんでいることである。
この 1350 円のアルバムはすぐにダウンロードしてダビングした。今妻が寝室で Sony の Walkman からスピーカを通してそれを聴きながらうとうとしている。
あれから随分時間が経った。あれからいろんな環境が変わった。しかし、音源は変わらずに生き残っていたのである。
【8月14日追記】 念のため調べてみたら、今では両アーティストともに Amazon でも Mora でも見つかることが分かった(在庫の豊富さに差はあるが)。
これはサイトの差ではなく(つまり、必ずしも iTunes がすごいということではなく)、時の流れとともに各社とも在庫が充実してきたということである。
寄せ集めではないかと想像した Ketama のテープもオリジナル・アルバムであることが判ったので、こちらは Amazon マーケットプレイスで購入した。
いずれにしても良い時代になったものだ。
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