中盤の選手
【6月6日特記】 僕は別にサッカー・ファンでもないしサッカーに詳しいわけでもないのだけれど、一昨日のワールドカップ最終予選を観ていてふと思いつき、仕事をサッカーになぞらえて考え始めたことがある。
それは、入社した時の自分の憧れや希望にかかわらず、結局自分は中盤の選手なのかな、ということだ。いや、俺は今では他の誰よりも中盤での球回しが巧い、というような意味ではない。あくまでタイプとしてそうだということだ。
そして、中盤で繋ぐのが得意な選手であるなら、いまさらトップやバックスの位置に入りたくない、ということである。
日本の多くの企業はいまだに全ての社員に対してキャリア・アップとともにポジションを変更させようとする。
喩えるとすれば現場がフォワードなのか経営陣がフォワードなのか知らないが、日本企業においては、選手は一様にフォワードから始めて次第に中盤へ、そして最後はディフェンダーへと(あるいは逆に守備のポジションから始めて最後は攻撃トップに)位置取りを変えさせようとする。それは疲弊した制度だと思う。
ディフェンダーは選手生命が尽きるまでディフェンダーで良いではないか?
もしも、例えば走力が衰えたとか持久力が落ちたとかいうことであれば、その選手はポジションを変わるのではなく、ベンチに下がるべきなのである。あるいはベンチからスタートしていざというときに投入されれば良いのである。
一生懸命働いたことのご褒美や、仕事で挙げた成果に対する評価などを、職位で報いようとするのはどう考えても無理がある。それは職務内容を変えることになるのだから。
職務内容を変えても次々とこなして行ける奴だけがどんどん昇進する、というのは気違いじみた煽動策である。ねじ曲がった仕事観である。
論功行賞は報酬だけで行えば良い。
前線にいる選手ほど年俸が高い(あるいは安い)、なんてチームがおかしいのと同様に、仕事内容と職位を評価や査定に繋げるべきではないのである。それはストレスにしかならない。
同じグラウンドのさまざまなポジションにさまざまな年収のプレイヤが散らばっているのが自然なのである。
何年か働いて、人は自分に向いているポジションを知る。最近になって分かってきた。僕は(ある意味残念ながらw)多分中盤の選手である。もうこれ以上前にも後ろにも行きたくないのである。
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Comments
最近、あれこれ思っていたことにヒットしたのでコメントさせてください。
この半年で昇進、昇級のWアップしました。
私はあまり出世したくないタイプなのです。
それで
>日本の多くの企業はいまだに全ての社員に対してキャリア・アップとともにポジションを変更させようとする。
…の箇所とそこから続くくだりに大きく頷いたのでした。
私には私の持ち味があり、適したサイズがある…そう思うのです。
けれど、一方でポジションがひとをつくる(育てる)ということも経験してきました。
自分の中に眠っている「いまだ知らない自分」が目覚めるというか。
いま、その途上にあって、まだ自分らしい答えは見つからないのですが、この記事に書かれていることは今の私が抱えているものにヒントを与えてくれるような気がしています。
Posted by: リリカ | Saturday, June 08, 2013 08:49
> リリカさん
いつもありがとうございます。リリカさんのおっしゃることよく分かります。僕もそういうのを数限りなく経験して来ました。ただ、1点だけ異なるのは、僕も長い間働いてきて、自分の中に「いまだ知らない自分」はもう残っていないと断言できることです。あるいは、そんなこと断言できないのかもしれませんが、「自分探しはもういいです。今度はここまで積み重ねてきた自分を解き放ってやりたい」と感じているということです。もう自分を駆り立てる作業には辟易していると言えるのかもしれませんw
Posted by: yama_eigh | Saturday, June 08, 2013 11:45