僕が見初めた女優たち
【6月9日特記】 僕は昔から、他人とは違う視点で物や人を見て、他人が気づかない物や人の魅力に気づくのが好きだし得意だと思ってきたのだが、最近他人と同じ観点から魅力のある物や人を見出す能力も却々棄てたものではないと思い始めた。
それは将来人気の出る女優、主演級にブレークする女優を見極める目である。
他の皆よりも僕のほうが早くに彼女たちの魅力に気がついていた、ということでは必ずしもないのだが、初見でちゃんと「この娘は将来出てくるぞ」と見抜いていたということである。
宮﨑あおいはまだ彼女が中学生の時に『EUREKA』で観て、すごい!と思った。「この娘は出てくるぞ」ではなく「出てこい。早く出てこい」という思いで見守っていたら、クノールカップスープのTVCMで見つけて、「やっと来た!」と思った。(宮崎あおい)
ちなみに、このCMについて触れている人があまりに少ないので僕は驚くのである。多分映画『害虫』の少し後だったと思う。
2001年の初見から、2005年の映画『NANA』と2006年のNHKの朝の連続テレビ小説『純情きらり』でその地位を不動のものにするまで、僕はずっと彼女を見守ってきた。
多部未華子は2003年の映画『HINOKIO』が初見だった。オーディションで選ばれて、最初は少年だと思っていたら実は少女だったと分かる重要な役柄を演じていた。
これが強烈な印象で、あまりに印象が強いので、正直「この娘は来るぞ」という思いと、「いや、消えちゃうかも」という思いが半々であったかもしれない。
ちなみに、この映画には堀北真希も小さな役で出ていたのだが、僕はちっとも良いと思わなかった。
この後2006年には、中村義洋監督の『ルート225』、長澤雅彦監督の『夜のピクニック』、そしてWOWOW『対岸の彼女』という小説を原作とした作品で次々と好演し、いつのまにか主役の張れる女優になっていた。
普通の女の子の役よりも、『HINOKIO』や『君に届け』のような、ちょっと独特な役柄をやらせると大変巧いのである。
吉高由里子は2007年だった。映画『転々』。三浦友和の主演作品である。登場人物が少ない映画なので、オダギリジョー、小泉今日子に次いでキャストの4番目に名を連ねている。当時はまだ無名であったが、鮮烈な印象があった。
僕は当時ブログの映画評には「このまま消えるか大化けするかのどちらかだと思うのだが、しばらく注目していたい」と書いているが、結局大化けした。
2008年の『僕の彼女はサイボーグ』に台詞のないちょい役で出ているのを見つけて喜び、『きみの友だち』での成長ぶりに意を強くした。そして同年ついに『蛇にピアス』で主演を勝ち得た。
さて、この3人についてはこういったことを、もう何度かこのブログにも書いてきた。
今回書きたいのは、能年玲奈である。彼女については今年になってすぐに映画『グッモーエビアン』で観た。主人公の少女の友だち、まあ、ひとことで言って脇役である。
この映画は大泉洋と麻生久美子の印象が強く、能年について触れていたのは、それ以前からの彼女のファン以外にはほとんどいなかったと思うのだが、僕はひと目見た途端に妙に惹かれてこう書いている。
とりわけこの映画で素晴らしいと思ったのはハツキの担任教師を演じた小池栄子と、トモちゃんを演じた能年玲奈である。能年はあれが「地」なのかもしれないが、第一に可愛く、第二に個性的で、第三に妙にリアルだった。
山本透監督の次回作も、能年玲奈の次の出演映画も、是非見てみたい気がする。
多分その頃にはもう火がつき始めていたのであろう。すぐにNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』である。
僕は毎朝観たりしてはいないのだが、ときどき見るとはなしに見てしまう。魅力全開である。そして、思うのである。ああ、この娘の魅力にもちゃんと初見で気がついたぞ、と。
映画『告白』にも出ていたらしいので実は「初見」ではなかったのだが、まあ、でも、いずれにしてもあの程度の脇役で注目した自分の眼力に最近悦に入っているのである。
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