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Sunday, May 12, 2013

映画『藁の楯』

【5月12日特記】 映画『藁の楯』を観てきた。

今回は珍しく原作を読んでいる。しかし、例によって何も憶えていない。ただ、当時書いた書評があるのでそれを読んでみると、「文章としてはひどいが、ストーリーとしては面白い」みたいなことを僕は書き残している。

そういう作品は多分映画化に向いている。ひょっとすると世の映画プロデューサーたちはそういう原作を探して歩いているのかもしれない。

三池崇史監督は非常に多作な人である。そして、当たり外れが非常に大きい。マニア受けする類の監督だが、幅広い層から絶賛されることもあれば、よってたかってボロカスに叩かれることもある。

他の人たちの書いたものを見ると、どうやら今作はハズレではなくアタリのほうのようである。

話の基本線は単純だが、非常によく練られた設定である。

7歳の少女が所謂変質者に惨殺される。被害者の祖父は財界の大物・蜷川(山﨑努)である。蜷川は沸き上がる怨念と有り余る金の力に任せて、犯人を殺した者に10億円の賞金を出すと発表する。

やがて犯人・清丸(藤原竜也)は福岡で自首してくるが、自首する前から10億円ほしさから清丸の命を狙う者が続出してくる──清丸の直接の知り合い、ヤクザ、それぞれ事情を抱えて金に困っている一般市民、そして一番厄介なのが、訓練を受け武器を携帯している警察官である。

2人の捜査一課の刑事(岸谷五朗、永山絢斗)、2人のSP(大沢たかお、松嶋菜々子)、そして、福岡県警の刑事(伊武雅刀)の5人が、警察庁の威信を賭けて、清丸を東京まで護送する任務に就く。

しかし、何故か彼らの現在位置は筒抜けになって“清丸サイト”にGPS表示されており、次々と刺客が襲いかかってくる。

──これだけなら、ただのアクション映画なのだが、何と言っても藤原竜也が演じる清丸が怖い。大人の女性に興味がなく、幼児を見ると逃走中であってもいたずらしたくなる。常人には理解できない勝手な発想をして、ムカつく台詞を連発してくる。

恐らく藤原竜也でなければ、ここまで憎々しい、周りの人間の神経を逆なでする、狂気に満ちた犯人は描けなかっただろう。

そこに私情を捨てて「人間のクズ」を守る盾となる2人のSP役の大沢たかおと松嶋菜々子が絡む。それぞれに生きてきた環境や背景をしっかり設定してある。どこまでも抑制の効いた大沢と、時として人間らしい感情が溢れ出す松嶋の対象も面白い。

また、他の3人(岸谷、永山、伊武)もそれぞれによく書き込まれた役柄を、良い味を出して演じている。特に永山は、今までこういう荒くれ者のキャラは演じたことがなかったはずだが、今回は非常に強いイメージを残した。

カメラは登場人物たちのアップを多用するのだが、この6人がそれぞれ見事にその期待に応えている。

また、終盤ほんのチョイ役(タクシーの運転手)で登場する余貴美子が、ものすごい存在感を示している。他の市民とは一線を画す役柄で、この人物像に作者の思い入れが注入されている気がする。

初っ端の射撃練習のシーンからして、音と言い煙と言い、とてもリアルな大迫力であったが、銃撃戦、肉弾戦、カー・チェイスなど、どのアクション・シーンも非常に派手で過激で圧巻である。

あの高速道路でのものすごい数の車を使った撮影は一体どうやったのかと思ったら、開通直前の高速道路を借りたらしい。

まさに監督・三池崇史、脚本・林民夫、撮影・北信康のトライアングルがしっかり絡み合って作り上げた見事な作品と言えるのではないだろうか。息つく暇もない。そして、深く考えさせられる。

いみじくも監督自身が語っているように、「ハリウッド映画のように始まって、最後は魂だけが残る」のである。

血の色が少し気になった。あまり現実っぽくならないように、わざと色合いを少しずらせたのだろうか?

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

ラムの大通り

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「正直言います。 実は、この映画については三池崇史監督の新作ということしか知らず、 “また三池か、よく作るな”くらいの感じで臨んだわけだけど、 いやあ、申しわけありませんでした。 これは、ほんとオモシロかった」 ----おっ、正直。 で、どんな映画だったの? 「...... [Read More]

Tracked on Saturday, July 06, 2013 at 15:04

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