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Friday, April 12, 2013

村上春樹はよく分からない?

【4月12日特記】 今日、村上春樹の3年ぶりの書き下ろし小説が発売になった。昨夜から並んで買う人までいて、結構ニュースになった。

で、並んで買ったり読書会のイベントに参加したりしている人たちのインタビューを新聞で読んでいると、「村上春樹はよく分からないところが面白い」といっている人が複数いるのに驚いた。

ちょっと待ってよ

と思う。「そんなことはない。村上春樹は分かりやすいよ」などと言いたいのではない。その逆である。

じゃあ、君たちは、村上春樹以外の小説はそんなに分かっているのか???

確かに今の世の中、「なんだ分からないのに、なんだかすごい!」というものが減ってきているのは確かだ。しかし、それは分かるものが増えたということではないのである。いや、小説というものはそもそも「分かる」というものなのだろうか?

1年か2年前、twitter 上で鴻上尚史さんに対して、「あなたの書いた戯曲は今イチ何が言いたいのかよく解らないので、解説してくれませんか?」と言っている若者がいるのを見て、僕は仰天した。

そういうものではないのだ。そう、鴻上さんの返しも確か「そういうものではない」風の答えだった。

君たちは作品には1つだけ「作家の言いたいこと」があると思い込んでいないか? そして、自分が想像がつかないこと、解釈しきれないこと、うまく繋がらないことを勝手に削ぎ落として、残った部分だけを勝手に「分かって」いるのではないのか?

もし、作者が単純な何かを伝えたいのであれば、それは小説や戯曲という形式を採る必要はないのである。それは散文で書くべきである。長い論文か短い標語かは別にして。

小説に対して「要するにこれは」と言い始めた時点で、もうその小説はかなり矮小化されていると僕は思う。それは読者自身の限界を露呈しているだけのことなのである。本来、きっちりと分からなくて当たり前なのである。

そして、作品に対して「要するにこれは」と言う余地を全く与えないところが村上春樹の筆運びのすごさであり、すごみなのである。

僕も随分前に予約しておいたので、今日手許に本が届いた。読むのが大変楽しみである。このすごみを味わいたい。

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Comments

私は近所の本屋で予約しました。
昨日は5時を回ると落ち着かなくて、早目に仕事を切り上げて、本屋へ。
手に入ると安心したのか、まだ読んでません(笑)。
これからゆっくりと読みます。

分かる?分からない?という軸。
興味深いですね。

>作品に対して「要するにこれは」と言う余地を全く与えないところが村上春樹の筆運びのすごさであり、すごみなのである。

同感です。
なので、彼の作品の解説本みたいなのが苦手です。
誰かの手でどこかに無理に導かれる感じが苦手なのです。

あくまでも個人が感想として書いているものとかは
こちらをどこかに連れていこうとする意図がないので
わりと好きなんですけど。

分からないものは分からないまま
しばらく置いておくのがいいような気もします。
何度も読み返せる楽しみがあります。

Posted by: リリカ | Saturday, April 13, 2013 at 09:12

> リリカさん

あ、解説本・謎解き本の類、僕は何冊か読んでます。あれはあれで「よう考えたなw」という面白さがあります。所詮遊びと割りきって読んだら愉しめますよ。

Posted by: yama_eigh | Saturday, April 13, 2013 at 21:09

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