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Saturday, April 20, 2013

映画『HK / 変態仮面』

【4月20日特記】 映画『HK / 変態仮面』を観てきた。面白かった。

性的な嗜好を突き詰めていくと、それはどうしても日常性からの脱却、日常性の破壊へと繋がるので、詰まるところ変態に行き着く──というのが僕の持論である。

性とはそういう因果なものであるから、そこにはジレンマがあり、苦しみがある。だからこそ、性の探求者は次第に求道者の様相を呈してくるのである。

その辺のところは僕が尊敬してやまないエロ漫画家ひさうちみちお氏の作品の中でも色濃く描かれているのだが、この映画でもそういう性の本質を非常によく捉えていて、非常に深い余韻があるのと同時に小気味よいほどの痛快感もあった。

などと書くと、これは難しい映画だと思われるかもしれないが、そうではない。館内に大きな声の笑いが何度も沸き起こった。

なにしろパンティを被るとエネルギーが充満して超人に変身し、自分の「おいなりさん」を押し当てるなどの“秘技”で悪を叩き潰すヒーローの物語である。

そのバカバカしさの徹底具合が素晴らしいし、変態仮面(実は高校生の色丞狂介)に扮している鈴木亮平の鍛えに鍛えられたマッチョでスマートな肉体があるからこそ、これだけの感動巨編(笑)になり得たのである。

原作の漫画のことは全く知らないのだが、多分このキャスティングは大成功だったのではないかと思う。

そしてラストは、「もうそういう展開しかあるまい」と思えるところに見事にツボに嵌ってくれて、予定調和バンザイの読後感すっきりである(笑)

逆に冒頭を見ると、歌舞伎町のSMクラブの前で張り込む刑事たちという、一体これがどう繋がって行くのかというシーンなのだが、ここのオチが非常に面白く、そこから物語は一気に流れて行く。

監督の福田雄一が脚本も手がけているのだが、テンポが良く、笑いも随所で取れ、かつ“倒錯”という現象を的確に捉えた(だからこそ笑える)、非常によく書けた本である。

そして、役者がひとりひとり本当に面白い。冒頭のシーンのSM嬢の片瀬那奈、変態仮面のライバルである大金玉男のムロツヨシ、敵の刺客・戸渡の安田顕ら、それぞれが“怪演”と言って良い演技である。

前半での変態仮面 vs 真面目仮面、さわやか仮面、男気仮面、細マッチョ仮面などの抱腹絶倒の対決シーンの後、戸渡や大金との直接対決となって行くのだが、まあひとことで言ってバカバカしいったらありゃしない。

しかし、それにしても性の道は深くて暗い。その暗がりの中を手探りで、時に全身を突き刺すような、ねじれた快感に打ち震えながら突き進む青春の、なんと美しいことか!

いや、冗談ではなく本気で書いている。しかし、それにしてもよく笑った。

売店で「すみません、『変態仮面』のパンフレットないんですか?」と訊いたら、女性店員がかなり恐縮して、「申し訳ありません。最初から作ってないんです」と答えてくれた。多分、変態の観客からの問い合わせが多いのだろう(笑)

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