WBC に思う
【3月14日特記】WBC の季節になるといつも思うことがある。
まずは、WBC と言えば昔は世界ボクシング評議会のことだったのに、いつの間にかワールド・ベースボール・クラシックのほうを思い出すようになったなあということ。
それから、ナイター中継の視聴率低下が言われて久しいのに、この大会となると驚異的な視聴率が出ることへの驚き。
野球の人気が落ちてサッカーの人気が出てきたという指摘もあったが、サッカーでも驚異的な視聴率を獲るのはワールドカップやオリンピックであり、Jリーグのリーグ戦がテレビのキラー・コンテンツになっているわけではない。
要するにスポーツ中継は世界的なチャンピオンシップだけが視聴率を獲るようになったということである。みんな日本が外国をやっつけるところが見たいのである。
そんなことをつらつら考えると、これってテレビ黎明期のプロレス中継と同じではないかと思ったりするのだが、しかし、当時のプロレスのチャンピオン・ベルトの中には「勝手に作ったんじゃないの?」というようなものも少なくなかった。
当時はそういういい加減なチャンピオンシップを巡る闘いでも、視聴者は手に汗握り、声を枯らしてテレビの前で熱狂していたのである。ウチの祖母などは、思わずテレビに映っている外人悪役レスラーの足を引っ張ろうとしたぐらいである。
今の時代、さすがにそういうインチキっぽいものは価値を失ってきて、それぞれにしっかりと権威づけされた枠組みが必要となってきた。それでできたのが WBC なのだろう。
しかし、考えてみると、世界のチャンピオンシップというのはスポーツ界の頂点である。僕らはひょっとすると次第に麓や登山道をすっとばして、ただ頂点だけを楽しみたいという嗜好になってきているのかもしれない。
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