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Saturday, March 16, 2013

映画『クラウド アトラス』

【3月16日特記】 映画『クラウド アトラス』を観てきた。多くは語るまい。いや、こりゃもうとても語り切れないべらぼうな映画である。圧倒的に面白かった! もう一回観たい!

外国映画をあまり観ない僕でもウォシャウスキー監督の名前は知っている。映画館でではなかったが、一応『マトリックス』だけは観ている。しかし、ウォシャウスキー兄弟がいつの間にかウォシャウスキー姉弟に変わっていたとは全然知らなかった(笑)

しかし、僕がこの映画を見ようと思ったのはウォシャウスキー監督の名前に惹かれたのではない。ウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァという組合せに惹かれたのである。

トム・ティクヴァ監督の『ラン・ローラ・ラン』は、何度も元に戻ってしまう、めちゃくちゃに面白い映画だった。あれを観た人にとっては、その彼とウォシャウスキーの組合せがどんなものを産むのか興味が尽きない感じがする。

そして、期待通りこの3監督の組合せは、まさに誰にも作れない映画の創造に繋がっている。ほとんど3時間という映画の長さをまるで感じさせない。

1人6役などというとちょっと奇を衒った花型スターの独り舞台というような印象を受けるだろうが、いや、1人じゃなくて何人もの男優女優がそれぞれ5役も6役も演じているとなると、これは尋常ではない。

しかも、特殊メイクが凄すぎて、にわかに同じ役者とは気づかない。映画が終わってから、やっと気づくかというと、確かにそういうケースもあるが、パンフを読んで初めて、「え? あの役はあの役者がやってたのか!」と仰天するケースもある。

しかも、ストーリー自体が、それぞれに何百年も隔たった、いろんな場所での出来ごとを、ほとんど脈絡もないみたいに描いているとなると、これまたとんでもない映画である。

そんなこととか、CG や特撮の凄さとか、多分そういうことの多くが前面で取り上げられる映画なのだろう。

だが、これはそんなことに留まる映画ではない。もちろん素晴らしい原作があったからこそこれだけの世界観を構築できたのだろうが、この6つの物語を編みこむように繋げた編集の巧さには目を瞠らせるものがある。

そして何よりも映像作品としての面白さ、映像作品としての完成度の高さがある。全体としては SF 作品のようでありながら、それぞれの話は必ずしも SF っぽくはない。そして、それぞれの話は直接何の関係もない。

僕らは最初、この6つのストーリーがどう繋がってくるのだろうと思いながら映画を観ている。しかし、結局のところ、しっかりとは繋がってこない。逆にこんなものがきっちり繋がってしまうと、却ってインチキ臭いものになってしまうだろう。

それらのストーリーが繋がるのは僕らの心の中でのことなのである。

そこに輪廻転生を感じるのか、人間の愚かさを読み取るのか、仄かな希望を抱くのか、あるいは単に色彩や構図に酔うのか、それは僕らに委ねられている。恐ろしく広く、恐ろしく深い映画である。

だから、多くを語りたくない。いや、言葉では語り尽くせない。ともかく観てもらうしかない。ものすごく感慨深い作品だと僕は思う。べらぼうな映画である。

トム・ハンクスよりもハル・ベリーよりも、僕にはペ・ドゥナが素晴らしかった。

40年前に、今はなき阪急プラザ劇場で観た映画『ソイレント・グリーン』からの引用があり、はて、これをピンときた人が何人くらいいるんだろうと気になったのだが、そういう人はどれくらいいるのだろう(笑)

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