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Sunday, February 17, 2013

「キネマ旬報」2月下旬号(2)

【2月17日特記】 年末から2月中旬にかけて、キネマ旬報ベストテン絡みの記事を4本書くのが恒例になってきましたが、今回もその最後の記事を書こうと思います。

これはキネ旬ベストテンの日本映画の採点表に基づいて、ベストテンに入った映画の得点を分解してみようという企画です。

毎回書いていますが、これは統計学的に正しいやり方ではありません。本格的にやるならもっと面倒臭い方法で正しい分析ができるはずです。ただ、このやり方でもなんとなく傾向が見えてくるのが面白くて、僕はもう何年もこれをやっています。

それは何かと言うと、それぞれの映画が得た合計点数を「審査員何人×平均得点何点」という形に分解してみる遊びです。

今年(対象としては去年)で言うと日本映画の投票には編集部を含めて66人の審査員が投票しています。それぞれが55点を持ち点として、第1位に10点、第2位に9点、第3位に8点…、第10位に1点という風に入れていきます。そして、その合計点によって順位が決められます。

しかし、考えて見れば同じ200点でも20人×10点の映画もあれば、40人×5点の映画もあるわけです。

雑駁に言って、前者の場合は投票した審査員が皆1位に推挙したという、とても思い入れ度の高い映画であると言えます。後者の場合は66人中40人が点数を投じたという、とても大勢に受けた映画だと言えます。

あくまで上位の10本くらいに限っての手法なんですが、そんな違いが見えてくるのが面白いんですよね。だから、やめられません。さて、今回はとてもおもしろい結果が出ました。早速披露してみましょう。

  1. かぞくのくに
    222点=33人×6.73点
  2. 桐島、部活やめるってよ
    204点=29人×7.03点
  3. アウトレイジ ビヨンド
    192点=28人×6.86点
  4. 終の信託
    154点=22人×7.00点
  5. 苦役列車
    142点=25人×5.68点
  6. 我が母の記
    132点=22人×6.00点
  7. ふがいない僕は空を見た
    131点=20人×6.55点
  8. 鍵泥棒のメソッド
    130点=19人×6.84点
  9. 希望の国
    128点=24人×5.33点
  10. 夢売るふたり
    110点=19人×5.77点

人数も点数も上から順番になっていても何の不思議もないのです。事実毎年の例を見ると、もちろん何箇所かで逆転は起きているのですが、割合整然と並んでいるものです(ちなみに去年分析したときの記事はここにあります)。

ところが、今年は逆転現象が非常に多いです。このひっくり返るところが面白いんですよね。

今回は1作ずつを追うのではなく、並べ替えをしてみましょう。まず、投票した審査員の数の多い順に並べ替えると、ベストテンはこう変わってしまいます。

  1. かぞくのくに 33人
  2. 桐島、部活やめるってよ 29人
  3. アウトレイジ ビヨンド 28人
  4. 苦役列車 25人
  5. 希望の国 24人
  6. 終の信託 22人
  7. 我が母の記 22人
  8. ふがいない僕は空を見た 20人
  9. 鍵泥棒のメソッド 19人
  10. 夢売るふたり 19人

こちらのほうはあまり変化がありません。そんな中でひときわ目立つのが『希望の国』の万人受け度の高さ。やっぱりテーマがテーマでしたからね。

そして、次に平均得点順に並べると、

  1. 桐島、部活やめるってよ 7.03点
  2. 終の信託 7.00点
  3. アウトレイジ ビヨンド 6.86点
  4. 鍵泥棒のメソッド 6.84点
  5. かぞくのくに 6.73点
  6. ふがいない僕は空を見た 6.55点
  7. 我が母の記 6.00点
  8. 夢売るふたり 5.77点
  9. 苦役列車 5.68点
  10. 希望の国 5.33点

『かぞくのくに』は一気に5位に落ちてしまいました。『桐島、部活やめるってよ』や『ふがいない僕は空を見た』の順位が上がって、こちらのほうが感覚的には僕の評価に近いようが気がします。やっぱり僕は万人受けタイプではなくマニアなんです。毎年これを再確認しています(笑)

そして、集計表で個別の得点を見て驚くのが『終の信託』です。得点を投じた22人の審査員のうち、なんと9人が10点、2人が9点をつけています。こういうのを見ると、僕はこの映画を見逃してしまったことがとても残念です。

ところで、僕が文句なしに2012年のベストだと思った『ヒミズ』(第15位)は 89点=16人×5.56点でした。あまり多くにも支持されず、それほど熱狂的にも支持されなかった、ということですね。これはかなりがっかりでした。

さて、これだけ面白い結果が出ると、とてもやめる気がしません。ひょっとしたら皆さんにはそれほど面白くないのかもしれませんが(笑)、来年もまたこの分析をやってみようと思っています。

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