映画『劇場版 青の祓魔師』
【1月13日特記】 映画『劇場版 青の祓魔師』を観てきた。原作の漫画があって、テレビシリーズのアニメがあって、今回の映画化である。テレビのほうは一応全回観ている。
2011年の4月から2クール放送したテレビ版では、悪魔と人間の血統という複雑で壮大な問題を、時間が足りなくて今イチ深く描けなかった感があった。映画ではそれを補完するような形で「裏物語」、あるいは「外伝」のようなコンセプトになっているのではないかと予想したのだが、そうではなかった。
今回は11年に一度の正十字騎士團日本支部の祝祭に起きたひとつのエピソードである。
悪魔の血を引く祓魔師・奥村燐は今ではエスクワイアに昇進している。教官であり弟でもある幸男や、正十字学園の生徒たち(勝呂、志摩、子猫丸、しえみ、出雲)や、メフィスト、シュラなどの祓魔師も含め、お馴染みのメンバーが出てくる。
壮大な伝記/叙事詩からひとつのエピソードに、そして、基本的にヨーロッパ調だった正十字学園周辺がアジアの祭りへと、テレビから映画に転ずるに際してそういう転換を施しているのであるが、それはとても巧く行っていると思った。
ともかく背景を細かく丁寧に、そして今回はとりわけエキゾチックに描いている。その背景と人間と悪魔がダイナミックに重なり、揺れ、もんどり打って行く。映画館で見るに相応しい画作りになった。
今回も真面目な幸男といい加減な燐という対比の中で、どこか悪魔の心まで掴んでしまうような燐の懐の深さが描かれる。
1時間半足らずという、映画としては短い尺の中で、それでもテレビアニメ3本強の分数で結構込みいった世界が描けるものだと感心した。もう少し他の祓魔師の活躍が描かれても良かったのではないかという気もしたが、その分ストーリーはシンプルで入って行きやすく、後口は悪くない。ただし、この映画は原作を読んでいる人かテレビを観ていた人でなければ訳が分からないだろう。逆に原作やテレビを知っている人なら観るだけの価値はあると思う。
ところで、入場者特典のおみくじはうさ麻呂の小吉だった(笑)
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