なんばグランド花月『吉本百年物語』 again
【1月12日特記】 昨日、誘われてまたなんばグランド花月で『吉本百年物語』を観てきた(前作の記事はここにあります)。今回は第10弾。MANZAI ブームの頃の話である。
トーンは前作と同じなので、もうあまり細かくは書かないが、やっぱり愉しい。やっぱり「よしもと新喜劇」にはない“演劇的高揚感”がある。観客も愉しいが演ってるほうも楽しいのではないかな。
今回は芸人ではなく裏方に焦点を当てた話なので、芸人はあまり登場しない(例えば横山やすしなどは名前が語られるだけで、出てきはしない)。
ただ、劇中劇風にかつてのMANZAIが、当時そのままのネタで再現される。僕が見たのはオール阪神・巨人、のりお・よしお、いくよ・くるよなどで、よしもとの若手芸人たちが達者なものまねで演じていたが、このネタは毎回変わるらしい。そんな中で、特にのりお・よしおが秀逸だった。
で、吉本興業の女性新入社員を中心とした物語だったのだが、ゾフィー・プロダクツの某氏に聞いた話では、この女性は実在の2人の女性社員をもとに造形されたらしい。
一般の観客の方が同様に感じられたかどうかは分からないが、我々から見ると、1)吉本興業の過酷な労働条件(特に隆盛華々しかったあの時期の)と、2)放送局に対する吉本興業のえげつない戦略の一端が描かれていて面白かった。
で、最後にこれは書いておきたいのだが、主演の安達祐実の大阪弁の確かさには舌を巻いた。ひょっとして関西人かと思ったほどである(生粋の江戸っ子とのこと)。さすがに大阪の吉本の舞台で変な大阪弁は喋れないと、猛烈に特訓したのではないだろうか。そして、そもそも耳の良い人なのだろうと思う。
1列後ろで観ていたカップルが、「今までで一番面白かった」と言っていた。「あんたら、第1作の『笑わし隊』の話から見てんの?」と聞いてみたい気もしたが、まあ面白かったのは事実である。
いや、面白かったと言うより、やっぱり愉しかったと言うべきなのだろう。今回もそういう舞台だった。
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