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Friday, December 28, 2012

回顧:2012年鑑賞邦画

【12月28日特記】 年内にもう邦画を観る予定がないので、今年も「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」を披露する。

毎年書いているように、これはキネ旬ベストテンに「入るであろう」という予想ではなく、「入ってほしい」という僕の願望であり、期待である。ちなみに「10位以内」ではなく「20位以内」である。

そして、他の賞ではなくキネ旬ベストテンを対象としているのは、これが僕の感性に最も近く、僕が最も信頼している賞だからである。

さて、今年対象となる邦画は、僕が映画館や試写会で観た51本である。例年のことだが、観たかったのに見逃した映画もある。評判が高かったけど観る気にならずパスしたものもある。そういう中での選抜である。

そんな中から僕が祈りを込めて選んだのは以下の10本である。例年通り、僕が観た順番に記しており、番号と評価に相関関係はない。

  1. ヒミズ
  2. キツツキと雨
  3. 僕等がいた 前後篇
  4. 僕達急行 A列車で行こう
  5. ポテチ
  6. グスコーブドリの伝記
  7. ヘルタースケルター
  8. 桐島、部活やめるってよ
  9. 天地明察
  10. その夜の侍

今年はある意味大変つまらなかった。それは1/20に『ヒミズ』を観て、「もう今年はこれを超える映画には出会わないだろうな」と思ったからだ。そして、その通りになった。この映画は圧巻であった。園子温作品としては2009年の『愛のむきだし』以来の、とんでもない作品である。

ひょっとすると同じ園子温監督で、原発事故を扱った『希望の国』のほうが一般受けをして高い評価を得るかもしれない。しかし、僕はこの2本のうちどちらかと問われれば、全く迷うことなく『ヒミズ』を推す。

『ヒミズ』にも原発事故の要素は盛り込んであった。そして、『ヒミズ』が現実に事故のあった福島の原発を取り上げているのに対して、『希望の国』は「長島県」などという、あくまで架空の土地の架空の事故である。

『ヒミズ』を観たときには、「ここに原発事故の要素を入れ込む必要があるのか?」と思ったが、正面から原発事故を描いた『希望の国』と並べてみると、僕は『ヒミズ』での扱い方のほうが正解だと思う。

さて、それ以外で、全く迷うことなく10本に含めたのは5)と8)である。

5)は僕が『ルート225』以来ずっと贔屓にしている中村義洋監督。そろそろ大きな賞を獲ってほしいと思う。この映画はキネ旬なら多分ベスト20のうちに選んでくれるのではないかな。この脚本と構成、そして読後感の良さは他の映画には真似できないと思う。

そして8)。これも非常に評価が高かったのでキネ旬ベストテンには入るだろう。吉田大八の衝撃作である。ともかく脚本が素晴らしい。テーマの選び方としてもすごい。観た人に考えさせる映画であるところも素晴らしい。

その次に挙げたいのは6)である。毎年やっているこの企画で、僕がアニメーションを選んだことはほとんどなかったのではないかと思う。まあ、アニメに関しては、観ている本数が少ないせいもあるが…。

今年は割合たくさんのアニメを観たが、その中で、この映画の絵の表現力は飛び抜けている。ジブリよりも、細田守よりも、プロダクションI.G よりも、あるいは『まどか☆マギカ』よりも。この見事な世界観と卓越した表現力は他のアニメの追随を全く許さない地位にあると思った。

「入ってほしい」と同時に「入るだろう」と思うのはここまでかな。あとは僕の願望のほうが強い映画である。

4)は森田芳光監督の遺作である。僕はこの監督が、人生で最も大きな影響を受けた監督なので、もうそれだけでこの作品を選んでも良いという気分である。『の・ようなもの』や『間宮兄弟』の線なのだが、いつもと違う昭和の匂いがある。これも画に力のある良い映画だと思った。

3)は2本いっぺんに選ぶのは今までの基準にはなかったことなのだが、この映画の場合は仕方がない。あくまで前後篇を合せてひとつの作品なのである。三木孝浩監督の得意とする、痛々しい青春の物語である。原作の素晴らしさによるところも大きいのだろうが、前後篇に分けてたっぷり尺を取ったのは大正解だったと思う。

7)は今年の話題作である。僕のチョイスにそういう作品が入ってくるのも珍しいかもしれない。今年もまたアニメ原作の映画化が多かったわけだが、この原作もまた途方もない作品である。蜷川実花監督には、色彩感覚以外正直言って全く期待していなかったのだが、これは選ばざるを得ないと思う。沢尻エリカさまもとても良かった。

9)は正直選ばれないだろうなあと思う。しかし、却々しっかり構成してある、よくできた作品だと思った。滝田洋二郎監督作品としては、僕は『おくりびと』よりも上に評価したい。

2)は本当のところ選ぼうかどうしようか迷った作品である。「選びたい」と言うよりも、なんか「捨てがたい」のである。沖田修一監督。細かいところにまで神経の行き届いた佳作ではないかな。

さて、最後に10)は、あ、これはひょっとしたらキネ旬も選んでくるかもしれない。赤堀雅秋監督が自分の戯曲を基にしながら、しかし、絶対に映画でしか描けないものを撮っている。そこがすごいと思う。

手に負えないようなテーマを扱って、描き切れないというところを敢えて見せることによって状況を描き切っているような感がある。細部にリアリティの宿った、人物造形に非常に切れのある映画だった。これは是非選ばれてほしい。

さて、それ以外の、ここで選ばなかった映画としては、『かぞくのくに』、『ふがいない僕は空を見た』、『ミロクローゼ』などを選ぶかどうか迷った。ここでは結局外してしまったが、いずれにしても、もしもキネ旬に選ばれたら嬉しい映画であることに間違いはない。

あと、僕が観た映画の中で選ばれそうなものとしては、大ヒットになった『テルマエ・ロマエ』とか、内田けんじ監督の『鍵泥棒のメソッド』、西川美和監督の『夢売るふたり』、井筒和幸監督の『黄金を抱いて翔べ』ぐらいだろうか。しかし、『鍵泥棒』にしても『夢売る』にしても『黄金』にしても、僕はそれぞれの監督のベストではないと感じたので今回は外した。

さて、今回はこの10本のうち何本が希望に叶うだろうか? 今年はちょっときついかな(笑) いずれにしても年明けすぐのキネマ旬報ベストテンの速報が待ち遠しい。

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突然で申しわけありません。現在2012年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票は1/17(木)締切です。ふるってご参加いただくようよろしくお願いいたします。
日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。
なお、twitterも開設しましたので、フォローいただければ最新情報等配信する予定です(http://twitter.com/movieawards_jp)。

Posted by: | Sunday, December 30, 2012 at 00:17

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