『中の人などいない @NHK広報のツイートはなぜユルい?』NHK_PR1号(書評)
【11月28日特記】 あっちはNHK、こっちは民放とはいえ同じ業界にいて、あっちは公式、こっちは勝手にやっているだけとはいえ、同じように twitter をやっている者として、ものすごく共感の持てる本である。
まるで会って打ち合わせたかのようにPRさんと全く同じ感慨を持ち、全く同じ結論に達している。僕らは会ったこともないし、それどころか、ほんの1ヶ月ほど前までは僕はPRさんをフォローしていなかったし、PRさんのほうはこの3年間ほど一貫して僕をフォローしてはいない。なのに辿り着くところは全く同じなのである。
これこそが twitter の不思議であり、マジックなのである。
もちろん、PRさんのツイートと僕のツイートでは随分印象は違うだろう。それは中の人(PRさんは「中の人などいない」と書いているけど、ま、ここでは便宜上そう書く)の個性が現れているからである。
しかし、その書きっぷりの個性は別として、twitter って本質的にこういうものではないかな、企業アカウントをやるならこういう風にツイートするべきではないかな、twitter の怖いとこ・難しいとこってこういうとこだよね、こういう時が twitter やってて一番嬉しい時だよね──みたいな感慨が、この本に書いてあることと僕とでほぼ完全に一致するのである。僕らは全く別々にツイートして来たというのに!
そして、黎明期からお互いに手探りでやってきて、同じような嫌な目、痛い目に遭って、同じように凹んで、同じように学習していった過程がこれまた一致するのである。twitter 戦友とでも言うかな。
でも、PRさんのフォロワー数は僕の100倍以上!──そのプレッシャーたるや僕の比ではない。そのプレッシャーの中をくぐり抜けてここに至るまでのPRさんの姿をこの本で追ってみると、改めてなんと腹の座った人かと感心する。いや、多分ちょっとだけ気の弱い人である──それは大怪我をしないためにとても大事なことである。そして、その弱さ・優しさの下に、いざとなったら潔く腹を決められる太さがある。これが何とも言えない魅力なのである。
僕はPRさんにお会いしたことはないのだが、実際に会ったことのある人、一緒に仕事をした経験のある人に聞くと、皆例外なくPRさんのことを褒めるのである。それは多分PRさんのそういう人柄を指してのことなんだろうと思う。
そして、中の人などいないと言いながら、中の人の人間的魅力が現れるのが、twitter の特徴なのである。だから、twitter 上だけのつきあいから本当の親友に至ることがあるのである。
嘘ではない。twitter はやってなかったけど、この本を読んでへえーと思った人は、今すぐアカウントを作って呟き始めてほしい。この本にある通りの難しさと楽しさと、そして奥深さに巡り会えるだろう。
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