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Saturday, September 01, 2012

映画『I'M FLASH!』

【9月1日特記】 映画『I'M FLASH!』を観てきた。豊田利晃監督が鮎川誠の同名の曲に触発されて作った映画。前作、前々作に引き続いて91分と短い。いや、それでも少しずつ長くなっているかな?──そこに僕は豊田監督の復活、あるいは蘇生を感じるのだが…。

パンフレットに監督直筆の書き込みまでコピーした台本がついているのは面白いサービスである。

オープニングでいきなりゆらゆらした映像。どうやら海中のよう。どうして海なのか暫く分からないが、後で繋がってくる。その後のシーンは疾走する赤い車。運転席に藤原竜也、助手席に水原希子。走る車の前面からのショット。

「DVDを返してくる」と母親に告げてバイクで家を出る柄本佑。

この2台の車両が爆音を上げて疾走するシーンが交叉する。バックで流れている音楽のせいもあるが、怒涛の疾走感がある。なんだか不安を煽られる。観ているものには、もうすでにそこに予感がある。それは単にこの2台が衝突するのだろうという予感ではない。「死」の予感である。

暫くは誰が何者で何がどうなっているのかを明らかにしないままストーリーが進む。やがて、事故で死んだのは柄本佑だけだったこと、藤原竜也は新興宗教の教祖であることが判る。そして、彼の家に電話で呼び寄せられた3人の男たち(松田龍平、仲野茂、永山絢斗)は拳銃を持ったボディ・ガードだと判る。

藤原と水原の出会いから事故に至るシーンも、何度も何度もフラッシュバックしてくる。しかし、事故が起きた時は藤原は運転席から出てきた。フラッシュバックのシーンでは水原が運転している。この謎はまだ暫く引っ張られる。

日本には殺し屋を職業としている人が何人いるんだろう?──そういうことを考え始めると、この映画のリアリティのなさ、荒唐無稽が気になり始めるかもしれないが、これは「死」を扱った映画なのである。観念としての「死」を扱うために、3代目の宗教家と3人の殺し屋というのは必要な駒であったような気もする。

むしろ何発撃っても弾が当たらないとか、心臓を撃ち抜かれても泳いで逃げるとか、そういうリアリティを外したところに、僕は寓意性を感じてしまった。台詞の随所にもそれはある。

思ったほど重い映画ではなく、むしろ軽いタッチの映画である。しかし、タッチが軽い割には暗く、そして思ったよりも遥かに深い映画であった。

藤原竜也から監督に「一緒にやりたい」とのオファーがあり、それが何年越しかで実現した映画であるという。松田龍平とは『青い春』、『ナイン・ソウルズ』以来の長いつきあいである。

そして、永山絢斗、仲野茂、板尾創路、渋川清彦、大楠道代ら、この映画の多くの出演者が原田芳雄の葬式に集ったメンバーなのだという。原田芳雄の娘である原田麻由も藤原竜也の姉の役で出演している。

監督は原田芳雄の生前に何か一緒にやりましょうと持ちかけたらしい。すると原田は、「豊田、早くしないと、俺死んじゃうよ」と言ったらしい。

これはそういう映画なのである。死を扱った映画なのである。水原希子は一体何のメタファーなのか、などと考えてみるのも面白いかもしれない。

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