『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』
【8月5日特記】 WOWOW から録画したまま放ってあった『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』を観た。
前作の『SR サイタマノラッパー』は会社の同僚から DVD を借りて観た。面白かった。
低予算を逆手にとったような長回し。場所と言い、人と言い、泣けてきそうなほどのダサい設定、情けない物語。だけど、そこに引き込まれる。ラップが流れれば観客は乗る。そのノリで最後まで乗りきれる。そんな感じの映画だった。
だが、二番煎じの続編はもう良いだろうと思ってた。その後、監督の入江悠は映画『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』を撮った。これまた面白かった。そして、テレビの脚本を書いたり演出をしたりし始めた。そういう風な違う展開を僕は期待していた。
ところが、三番煎じまで作られて、いずれも評判が良いのである。となると放っておけなくなって、とりあえず WOWOW でやってた2を録画した。
でも、正直飽きる。そこそこに面白いけど、見事にニ番煎じ。自分の作品を煎じなおすのだからそれでも良いと言えば良いのだが…。
埼玉が群馬に変わり、男が女に変わり、6人→3人が5人→3人に置き換えられ、等々。でも、一番飽きるのは、前作今作共通して、やっぱりラップが巧くないから。いや、ずぶの素人よりは巧いかもしれない。でも、プロと比べるととても下手。
もちろんプロと比べて遜色ないくらいなら、彼らは埼玉や群馬の田舎にくすぶってないはずだから、ストーリーの進行上は巧いラップを聴かせてはいけない。しかし、あまりに下手だと映画の観客の共感を呼べない。このあたり、ものすごく難しい線を突いて来ている。
トラックなしのアカペラ・ラップになっているところが、聴いてて一番貧弱な原因だが、それにしてもやっぱり巧くない。音感の悪さ、リズム感の悪さ、それになんと言ってもリズムの変化の乏しさ。ライムはそこそこ書けていても、やっぱりそこが一番辛い。
その辛いところを含めて見せようとしているのはよく分かる。だが、これでは1と全くの同工異曲ではないか?
タイプの違うドラマでもちゃんと実力を発揮し始めた入江悠が、ここまで北関東のラップにこだわった理由は奈辺にあったのか? それを僕は知りたいと思った。
確かにこの映画は、『SR サイタマノラッパー』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門でグランプリを獲得し、その副賞である次回作支援で制作された作品である。そういう意味で2を作った気持ちは解らないでもない。
しかし、3まで作ったこだわりは一体どこにあるのだろう? なんだか分からない。でも、何だか分からないけど、その執念めいたものが色濃く画面に張り付いた映画だった。
さて、3はどうするかな?
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