無料から有料へ
【8月10日特記】 もう何年もジョルダン社の「乗換案内」をで使ってきた(最初は PC にバンドルされていた「駅すぱあと」だったのだが、途中で乗り換えた)。
毎年毎年年間のサポート料金を振込み、2ヶ月に1回バージョンアップ用の CD-ROM が送られてきて、それ以外にも随時ネットからアップデート・ファイルを D/L する──そうやって、ダイヤの最新性を保って検索結果を正確なものにしてきたのである。
ところが、iPhone (当時は 3GS)を買ったら、App ストアに無料の「乗換案内」があった。暫くして、僕は PC 版のアップデートをやめ、サポート契約の更新もやめた。年間何千円か(それも割引料金であり、正価なら1桁上の数字になる)を払っていたものが、今やタダでできるのである。
しかし僕は、「この会社、こんなことをして潰れないのかなあ?」と心配になった。いや、この会社だけではない、前述の「駅すぱあと」を含めて、こういうアプリを作っているあの会社もその会社も、全部潰れてしまうのではないかと心配になった。
とは言え、アプリ本体は一般的にはせいぜい170円までで、そこから先の更新は無料というのが、iPhone アプリの大体の常識である。そういう世の中になってしまったのである。ジョルダン社の商売はそういう嵐の中に巻き込まれてしまったのである。
とても気の毒な気がする。でも、1利用者としては、何千円も払って PC で使うよりも、タダで iPhone で使うほうが良いに決まっている。
PC だと立ち上げるまでに時間がかかるし、いざ調べたい時に手許に機械があるかどうかも分からない。それに、いざ使おうとすると、先に最新ファイルを D/L するように促されて、却々検索できないこともある。その点、iPhone ならまことに速くて簡便である。
去年などは、地震の影響で節電中の東京に出張したら、私鉄の間引き運転のダイヤをちゃんとネットから取ってきて表示してくれているのでびっくりしたくらいである。
ところが、使っているうちに、iPhone の無料版アプリを従来の PC 版を比べるとやはり若干物足りないところが出てきた。例えば検索結果より1本後の電車だと何時に着くのか調べたい時とか、時刻表を見たい時などに、無料アプリは言うことを聞いてくれないのである。
それで、iPhone アプリを有料版にバージョンアップすることにした。こちらだと毎月何百円かの料金を取られることになるが、PC 版よりずっと安い。
僕はバージョンアップをして少し安心した。それは、このことによってわずかながらジョルダン社に収入をもたらすことによる安心感である。そして、同時に不安感も変わらずにある。これは払っている料金が PC 版に比べてずっと安いので、ジョルダン社はこれで大丈夫なのか?という不安である。
要するに、何が不安かと言えば、会社が潰れてアプリがなくなってしまうことが一番不安なのである。それが利用者として一番避けたいことなのである。
何故なら、このアプリを気に入っているからであり、重宝しているからである。
利便性を得られるのであれば少しくらいの出費は構わない。最近段々そういう考えに変わってきた。「ネットは無料」という常識は、そろそろ我々ユーザの側から態度を示して、改めて行く必要があるのではないかという気がしてきている。
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