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Saturday, August 18, 2012

映画『アナザー』

【8月18日特記】 映画『アナザー』を観てきた。綾辻行人という、(僕は読んだことないのだが)とても有名な作家の、2009年度「このミステリーがすごい!」第3位の作品である。なるほど、これは小説で読んだら面白いだろうなあと思う。

映画にすると、小説では読者の想像に委ねていた部分まではっきり描き出してしまうために、少し難しい部分が出てきてしまう。さらに、パンフを読むと、原作では所謂「叙述トリック」を施した部分があって、それがかなり効いているようなのだが、映画では全面的にカットされているとのことである。

結構難しい原作に取り組んだもんだという気がする。監督は古澤健。黒沢清の弟子筋の人らしい。

とてもしっかりと構成して撮ってある気がした。まずは原作の設定がしっかりしているということもあるのだが、映画としての料理の仕方も悪くないんじゃないかな(原作読んでないので分からないけど)。

ま、ひとことで、昔の表現で言ってしまうと、「祟り」みたいな話である。その祟りが起こるに際していろいろな設定がしてあって、それを少しずつ整理しながら小出しにしているのだが、そのペースがうまく計算できているという感じがした。

地方都市・夜見山市の中学校の3年3組で、生徒やその家族や関係者が死ぬ。ひとりではなく何人もが連続して、しかし、それぞれ全然違う死因で死んで行く。一旦その「現象」が始まると誰にも止められない。

一方で、その「現象」を起こさないために、生徒も先生も一緒になって守っている「ルール」がある。

そんなことを何も知らずに、しかも病気のために新学期の開始から1ヶ月遅れで転校してきた榊原恒一(山崎賢人)が主人公である。そして、そこには恒一以外には誰にも見えない女生徒・見崎鳴(橋本愛)がいた。

この始まり方からして、ホラーとして、ミステリとして、非常に「含み」のある、見事な設定である。

で、カメラも台本も役者も、非常にしっかりコントロールできていて、あまり貶すところが見つからない。──でも、あんまり怖くないし、そんなに面白くもない。

なんでだろ? ちょっと取り上げた原作が映画にするには難しすぎたのか? ま、そういうこともあるのかもしれないが、どうせホラーなのだから、まずもっともっと観客を怖がらせても良かったのではないだろうか?

うん、「怖くないし面白くない」と書いたけれど、いや、そんなに面白くないわけでもなくて、特に不足気味なのは「怖い」ほうである。ものすごく残酷な死に方をするシーンもあるのだが、割合作り物感があってそんなに怖くないのである。これはどうしてだろう?

息が止まりそうなくらい怖いシーンを息つく暇もなく畳み掛けて、その合間に学園とか青春とか成長物語とかいうものを忍び込ませて行くような作り、つまり、もっともっとホラーを前面に出したほうが作品全体も締まったのではないかな、という気がする。

例えば、師匠筋に当たる黒沢清なんてめちゃくちゃ怖いもんね。別に師匠の真似をしろという気もないし、恐らく監督自身が考えるところあって、ホラー的に行き過ぎない演出をしたのだろうけれど、結局のところ少し中途半端になったような気がしないでもない。

僕の趣味としてはもっともっとリアルに、スプラッタに、スクリーミングに、そして残虐に暴れまわってほしかった。そして観客を恐怖のどん底に叩き落し、最後に「ほっ」と息がつける──というような仕上げ方にすべきだったのではないかなと思う。

ただ、とてもかっちりとした、堅実な監督だという印象は受けた。

ところで、このパンフレットはかなりひどい。何から何までほとんど全部書いてあるので、絶対に先に読んではいけない。よく見たら裏表紙に「鑑賞後にお読みください」との註記はあったけど。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

Akira's VOICE

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