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Sunday, May 13, 2012

映画『貞子3D』

【5月13日特記】 映画『貞子3D』を観てきた。

僕はホラー映画をたくさん見ているほうではないので他にも怖い映画はいっぱいあるのかもしれないが、僕が生涯見た映画の中では一番怖かったのが『リング』である。そう、震えるほど怖かった。

原作の小説『リング』自体が3部作の最初の作品であり、それぞれが映画化され、さらにハリウッド版、韓国版も含めていろいろなバリエーションが加わったが、結局最初の『リング』を超える映画はなかったのではなかろうか(もちろん、全部見たわけではないのだが)。

そして、結論から言うと、この『貞子3D』もあの『リング』ほどは怖くない。結局あそこを超えられない。

何故なら『リング』では山村貞子の生い立ちから始めて彼女の怨念がどのようにして形成され増幅されたのかを丁寧に描いていたが、この映画では貞子の怨念は既に存在するものとして、それを新しいストーリーに流用しているだけなのである。

背景をきっちり描いていないから怖さが出てこないのは当たり前で、やっぱりどこか借り物感が残る映画になってしまった。

昔は恐怖映画と言っても使える技術は限られていて、速い場面展開と速い動き、そして大きな音だけであった。その後特殊メイクやCGの技術が発達し、ついに3Dという究極の手法が加わったのである。

『リング』で一番怖かったのはテレビ受像機から貞子が出てくるシーンである。考えて見ればこれほど3Dに適したシーンはないではないか。それを3Dで描いてみたいと思うのも無理からぬところである。

でも、残念ながら、その手法は我々観客には充分想像がついてしまう類いのものでもある。だから、そんなに怖くないのである。

そもそも怖さと言っても2通りの怖さがあって、ひとつは突然大きな音が鳴って怖い顔がよぎったりすることによってびっくりさせられる怖さである。そして、もうひとつは話の設定やストーリーの進行によって我々の神経に食い込んでくる、身の毛もよだつ恐ろしさである。

この映画には前者があって後者がなく、しかも、先ほど書いたように前者はある程度想像がついてしまう。だから、見ていてビクッとか、ビクンとかはするのだが、尾を引く怖さがない。大体このタイトルが良くない。『リング』の「貞子」に単に「3D」を加えただけですよ、と自ら宣言しているようなものではないか。

触手のような貞子の毛髪にしても、CGの部分は良いのだが、特殊造形のほうがどう見ても質感が違う感じで、それが興冷めになってしまう。そして、最初の作品ではテレビのブラウン管だったものをPCのモニターやスマフォの画面に置き換えてみようというのも誰でも考える手法である。

しかし、てなことを考えながら観ていると、終盤意外な方向に展開する。塚本晋也の『ヒルコ/妖怪ハンター』を思い出してしまった。そして、そうそう、塚本晋也ならもっともっと恐ろしい映像を作れただろうな、などと余計なことを考えてしまった。

でも、まあ、この意外な展開によって、この映画は呪いとか怨念とか怪談とか都市伝説とかではなく、言うならば『エイリアン』や『ゲゲゲの鬼太郎』みたいなエンタテインメントとして楽しめるものになった。最後は主人公が勝つに決まっている。要はどうやって勝つかが楽しみなのである。

そういう映画だと思い直して見ることができるかどうかが、この映画を楽しめるかどうかの分かれ道なんだろうなと思った。

ま、僕は単純に石原さとみのファンだから別にどっちでも良いのだけれど(笑) しかし、それにしてもこの映画でもやっぱり彼女は巧いし可愛い。

そうそう、この映画は地味めではあるが非常に良いキャスティングなのである。

貞子と同じように特殊な能力を持っているために、貞子がこの世に甦るための器として狙われる高校教師に石原さとみ。その恋人に瀬戸康史。そして、瀬戸の友だちで、「その筋」のことに詳しい男に染谷将太、貞子を蘇らせようとする男に山本裕典、事件を追う刑事に田山涼成と高橋努、そして、貞子は橋本愛が演じている。

もっともっと尾を引く後味の悪い終わり方もできるところだが、この映画はそういうことはあまりやっていない。ただ、一応キャスト/スタッフのロールが出ても慌てて席は立たないように。

ところで隣の席は女子高生だったのだが、石原さとみが走って走って、漸く狭くて暗い建物の中に逃げ込んだところですかさず「そこはあかんやろ?」、えげつないシーンでは「えっぐう!」などとツッコミ入れまくりで、めちゃくちゃ面白かった。ここはやっぱり大阪である。

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