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Saturday, May 12, 2012

【5月12日特記】 母のところに行くと、「夏物のパジャマがない」と言う。引き出しを開けて探してみるのだがさっぱり分からない。

何故分からないのだろうかとふと考えたのだが、これがもし自分のパジャマならちょっと見ただけで判る。それは柄を見ただけでパジャマだと判別がつくからだ。

ところが、母が暑い季節にどんな柄やデザインのものを着ていたかなんて全く記憶にない。だから、小さく畳まれた状態でタンスに入っているのを見ても区別はつかないのである。引き出しから取り出してひとつずつ広げてみないことには、それがブラウスなのかパジャマなのか肌着なのかさえ分からないのである。

「認知症」とはよく言ったもので、それは単に記憶が途切れるだけではない。人の顔も分からなくなるが、味も分からなくなるし、筆跡の区別もつかなくなる。もちろん記憶の大部分は消えてしまう。

そういう状態だから、今の母が自分の引き出しを見ても、多分僕が彼女の引き出しを見ているのと同じなのだという妙なことに気づいた。もしそこにあれば一目で気づくはずのものに気づかないのである。

もっとも、夏物のパジャマがそんな解りやすいところにある可能性は少なくて、多分「誰かに盗まれる」と心配してどこか見つかりにくいところに自分で隠した可能性のほうが高い。

いずれにしても、その日は幸いにして、別の戸棚からTシャツと短パンを見つけることができたので、それを着てもらった。明日も自分でそれをちゃんと見つけられるかどうかは甚だ怪しいが…。

僕の前で僕のことを分からなくなったのはまだ一度だけである。多分僕のほうがパジャマより濃い柄なのかなあなどと思ったりしている。

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