『UNDERWATER LOVE-おんなの河童』
【3月31日特記】 WOWOW から録画しておいた映画『UNDERWATER LOVE-おんなの河童-』を観た。なんかネット上で激賞してる人が何人かいたので、何の予備知識もなく観たのだが、これがまた「なんじゃこりゃ!」の映画だった(笑)
一番意表を突かれたのは、ところどころミュージカルだったところ。めっちゃチープだけど(笑) ストーリーの中でいきなり音の薄い音楽(曲は悪くないけど)に合わせて踊りだす。歌も踊りも上手くはない。なんじゃこりゃ。
んで、ときどきポルノなのである。っちゅうか、「ピンク」かな? しかも、にっかつロマンポルノの線ではなく、大蔵映画の線だぞ、こりゃ(笑)
あまり脈略もなくセックス・シーンになる。モザイクを入れるのではなく、基本的に大事なところはフレーム外か手前にある何かの陰になっているというカラクリ。カメラが引いたときには、結合部を大きくボカしてある。うーむ、なんという懐かしい手法。
話がこれまた奇想天外、と言うよりも脱力系だ。
工員・明日香(正木佐和)の前に河童(梅澤嘉朗)が現れる。聞けば、明日香の高校時代の同級生で、沼に落ちて死んだ青木君が河童になって生き返ったと言う。で、青木は明日香が好きだったので何かと明日香につきまとう。しかし、明日香は工場の滝チーフ(吉岡睦雄)と婚約してて、しょっちゅうセックスしてる。
って、なんじゃそりゃ、なのである。なんじゃそりゃ、なのだが、何とも言えない味があるのである。何と言うかなー、人間のすごく基本的なレベルでの生命力みたいなものを感じさせてくれるのである。筋があってないような馬鹿馬鹿しい話なのだが、見て損したとは決して思わない。
何よりも主人公を20代の女性ではなく、35歳に設定したところが秀逸である。で、正木佐和と成田愛の2人の女優が、いんちき臭いセックス・シーンなのにめちゃくちゃ色っぽくて、それが「性」ではなくて「生」に対する力を感じさせてくれるのである。ゆるいダンスに躍動感があるのである。
監督のいまおかしんじは、調べてみると元々ピンク映画の監督だった。かなりキャリアがある。
そして、撮影監督がこれまたすごくて、ウォン・カーウァイやチャン・イーモウ、ジム・ジャームッシュなんかと組んで映画を作ってきたクリストファー・ドイルという人。──と、ここまで読んでピンと来た。そう、僕が読んだプロフィールには載っていなかったが、この人は僕が最近観た映画の中では『ラビット・ホラー3D』を撮った人なのだ。
ああ、あの映像を作った人がこの映像を作ったのか──と思うと、なんだか限りなく感慨深い。
なんかよく分からんけど良い映画なのである。うん、なんか分からんけど良い映画って、間違いなく良い映画なのである。──なんかよく分からんこと書いてるけど、つまり感銘を受けたということである。機会があれば、ま、一度見てほしい。
なんと日独合作ですぜ(笑) ちなみに2011年度キネマ旬報ベストテンでは第65位であった。
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