「キネマ旬報」2月下旬号(1)
【2月7日特記】 「キネマ旬報」2月下旬決算特別号が発売になりました。さて、今年もまた去年と同じ形式で第11位以下の作品を総点検してみることにします。僕自身の2つの記事(12月29日付けと1月16日付け)の続編という形になります。
10位までのところで言うと、今年は結講好成績で、僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」として選んだ映画のうちの6本が入選しておりました。
ところが、最初に書いてしまいますと、11位から20位までの間には1本しか入っていませんでした。
合計で結局7本。去年が7本、一昨年と一昨昨年が6本でしたから、まあ、最多タイとも言えますが、毎年のペースです。
キネ旬の11-20位を紹介してしまいますと、第11位は『監督失格』。ああ、これは僕が見逃してしまった映画です。
第12位は『エンディングノート』。これはあまり観る気がしなくてパスした映画でした。
第13位は『毎日かあさん』。これはとても良い映画でした。不思議はありません。僕も選ぼうかどうか迷った映画でした。
そして、第14位が『恋の罪』。ああ、ここに入って来ましたか。既に書いた通り、同じ園子温監督の『冷たい熱帯魚』が第3位に選ばれています。僕も『冷たい熱帯魚』を推しました。で、『冷たい熱帯魚』を選んでしまった時点で、「もう、園子温はいいか」と思ってしまったので選びませんでした。
それから、第15位は『あぜ道のダンディ』です。ああ、これがこんな良い順位に選ばれてきましたか、という感じ。はい、異存はありません。僕が選ばなかったのは、同じ石井裕也監督で言うと、前年の『川の底からこんにちは』があまりに強烈だったので、ついついそれと比べてしまったからというだけのことです。
やっぱり、監督が自己ベストを更新したような作品が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい」作品だと思ってるからなんですね。
さて、第16位は『歓待』──何ですかね、これ? 不勉強で申し訳ない。全然知りません。
で、一番意外だったのが第17位の『アントキノイノチ』で、これは僕の周辺ではもうボロカスに貶された映画でした。僕自身は、映画評にも書いているように、そんなに悪い作品とは思わなかったのですが、しかし、とは言ってもまさか20位以内に入ってくるとは夢にも思いませんでした。ふーん、って感じです。
去年公開の映画では、僕の周囲でもう1本、とても評判の悪かった映画があります。それは『ランウェイ☆ビート』です。僕はこの映画も割合高く評価していて、正直言って『アントキノイノチ』と比べると、こっちのほうが出来が良かったと思います。
なのに『ランウェイ☆ビート』の名前は第116位までのどこにも見当たらず、1点たりとも入っていないのに対して、『アントキノイノチ』が20位以内というのはちょっと驚きでした。
続きを見ましょう。第18位が、『婚前特急』。これも「納得が行かない」というほどのことはないのですが、意外に評価が高いですね。ちょっとびっくり。
第19位は『一命』。これも、「三池崇史監督はもういいかな」と思って選ばなかった作品。三池監督の最高傑作ではないように思ったので。
そして、第20位に『劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まない』と『デンデラ』。前者は僕が選んだ映画でした。これはちゃんとこんな高位に選ばれて喜ばしいことだと思います。後者は、すみません、これもノーマークでした。全く知らない映画です。
さて、ここから先は、例年通り、ランキングの中から自分が観た映画だけを拾って行こうと思います。
あ、その前に、僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」に選びながら選に漏れた作品が3本あります。それは『死にゆく妻との旅路』、『軽蔑』、『神様のカルテ』です。これらは一体何位に選ばれているのでしょう?
まずは第24位に『奇跡』。うーん、これは随分評価が高いですね。審査員の中にもそれだけ是枝裕和監督のファンが多いということなんでしょうね(僕もそうですから)。いや、これもとても良い映画でした。ただ、少し小粒な感じがしました。
次に第25位の『CUT』。これも僕が入れるかどうか迷った作品です。そういう意味で順当な順位だと思います。同じく第25位に『ツレがうつになりまして。』──これも、僕は選びこそしませんでしたが、良い出来でした。納得です。
そして、第25位タイに『軽蔑』と『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』が入って来ました。前者は僕が選んだもの。後者もまた、僕は選ばなかったものの良くできた映画でした。前者は、しかし、ちょっと評価が低すぎる気がします。うーん、すごくよくできてたと思うのですが…。
第32位に『コクリコ坂から』から。まあ、こんなもんでしょ。
そっから先、僕の観た映画がしばらく全然なくて、漸く第43位に『阪急電車』。うん、順当なところだと思います。
そして、その下第46位にやっと『死にゆく妻との旅路』が出てきます。これは思ったよりも評価が低かったです。同じく第46位タイに『漫才ギャング』。この映画は良かったですよ。品川ヒロシ監督のベスト(ったって、まだ2作目ですが)だと思います。これも僕が選ぼうかどうしようか迷った映画でした。
そこからまたどーんと飛んで、第58位に『ハラがコレなんで』。これはむしろ良い順位に選ばれたと思います。
続いて第65位タイに『神様のカルテ』と『ステキな金縛り』。うーん、前者はもっと評価してやって良いのではないでしょうか? 後者は妥当な線だと思います(日本アカデミー賞では、なんと5本の優秀作品賞のうちの1本に選ばれてしまった映画ですがw)。
第72位に『洋菓子コアンドル』。これも、ま、妥当な線かな。第79位に『スマグラー おまえの未来を運べ』。こっちは予想より低い評価。
第93位に『うさぎドロップ』。まあ、こんなもんっしょ。これと並んで同じ第93位に『電人ザボーガー』が入っているとこが面白いです。まあ、いいけど、この作品は別に選んであげなくてもいいような気もしないではないです(笑)。そして、もうひとつ第93位タイに『ラビット・ホラー3D』。これを選んだ審査員の方には、「いやいや、お目が高い」って言いたい気分です。
第102位に『世界のどこにでもある、場所』。ぎょえー、こんなん入ってきますか! 正直言って、観ててとてもしんどい映画でした。
そして、最下位入選の第116位に『あしたのジョー』。ま、点が入ったとは言え、ひとりの審査員が最低の1点を入れただけです。それでも入って良かったねという感じです。
こうやってリストを眺めていると、今年は聞いたこともない映画が非常に多いように思います。第116位まである(去年は第92位まで)ところから見ても、かなりバラけたようです。
さて、このあとは例年通り「思い入れ度」と「一般受け度」を両軸とした分析記事を書きます。
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