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Friday, February 17, 2012

『ももへの手紙』完成披露試写会

【2月17日特記】 映画『ももへの手紙』の完成披露試写会に行ってきた。うん、悪くない。アニメの世界は詳しくないのだが、こういうのってプロダクションI.Gの新機軸じゃないかな。

冒頭から水の滴り、風を受けた髪の毛のそよぎ、フェンダー・ミラーが電信柱を擦りそうになりながら路地を抜ける自動車、日陰から日向に出た時の光と影の境界の動き──どれをとっても「感じ」が出ている。

絵が単にストーリーを進めるための道具にはなっていないし、逆に徹底的に写実を追求したものにもなっていない。

その一方で、怯えたときのもものバランスの崩れ方、寝そべったまま背中で滑って移動する様など、見事な観察力で捉えた人間の動きや傾きの描写には舌を巻く。ただの平面アニメなのだが生命が宿っている気がする。息吹が感じられる。ひとつひとつがちゃんと「表現」になっている。

作画監督はジブリにいた人らしいので、少しジブリっぽい作風ではあるが、人間も妖怪も、ジブリよりも味がある気がする。アニメの動きで観客の笑いを取れていたことも、その画の確かさを裏付けている。

ストーリーは至って単純である。ひねりもどんでん返しもない。でも、それで良いのである。心温まる親子の物語である。

父親を事故で亡くした小学校6年生のももは、母親のいく子と一緒に、瀬戸内海の汐島にあるいく子のおじ・おば夫妻の家に越してくる。すると、その家にはイワ・カワ・マメという3人の妖怪たちがいて、その姿は何故だかももにしか見えないのであった。

そう、ありがちな設定ではある。でも、そのありがちな設定でよく描き切っていると思う。ここに出てくる妖怪たちは、水木しげるが定義するような妖怪たち、つまり、人に危害を加えるのではなく、基本的に人を脅かしたり悪戯をしたりする存在である。

今風に言うなら、そういう「ゆるい」妖怪たちのキャラをうまく活かしたストーリーである。そのゆるい連中がいざという時には──という、半ば読める筋だが、読めて構わない運びである。

妖怪たちのリーダー的な存在であるイワの声をやっているのが西田敏行で、この人がやってしまうと『ステキな金縛り』の落ち武者であろうと、このアニメの妖怪であろうと、みんな西田敏行以外の何者でもなくなってしまうという恨みはあるのだが、それを超えた味がちゃんと出ている。

主人公ももの声は、一世を風靡したとまでは言わないが、子役としてそれなりに鳴らした美山加恋である。なんと今年16歳! 母親のいく子の声は優香である。優香がお母さんなのか、と思うとなんだか感無量である。

エンディングの原由子の歌/曲がまた良いのである。

感動の巨編とか至高の芸術とか言う気はさらさらないが、良い作品と呼ぶにふさわしい良い作品だと思った。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

映画、言いたい放題!

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