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Tuesday, January 17, 2012

『戦火の馬』の完成披露試写会

【1月17日特記】 映画『戦火の馬』の完成披露試写会に行ってきた。

うーん、困った、という感じ。スピルバーグでなければ、あそこが良かった、ここも良かったなどと書けるのかもしれないが、これだけの実績のある監督に対してはそんなことを書く気にならない。

彼は一体何が撮りたかったのだろう? 馬の筋肉の躍動感? 多分ふんだんに CG を使っていたはずだが、どこまでが実写でどこからが CG なのか全然見分けがつかなかった──なんてことを書いても彼に対する褒め言葉にはならないだろう。

映画が始まってすぐに思ったのは、「なんと大時代的な雰囲気の映画だろう」ということ。しかし、ゆったりしているのではなくて、実はめちゃくちゃテンポが速い。

それはストーリーの進行に直接必要のない要素を全て切り落としているから──本当のリアリティは、少し脇道にそれた細部にこそ宿っているものなのに(そして、スピルバーグともあろう者はそんなこと百も承知のはずなのに)。

ともかく筋さえ進めば良いという作り。だから、小学生の書く日記みたいにどんどん進んで行く。

少年と馬との出会い。馬を育てる少年と馬とのふれあい、そして別れ、戦争、そして再会。これではまるで少年少女文学全集だ。溜息が出る。

人物の造形が極めて類型的。全ての人物は善い者と悪者に分かれる。

こういう作風に流れ始めると、最後だけ大どんでん返しというのはあり得ない。だから、確信を持って予定調和を待つことになる。

その予定調和に向けての最後の鞭の入れ方などはさすがにスピルバーグというところなのだろうが、まあ、そこまでかなあ。

これでは子供騙しではないか、と思う。小中学生がターゲットか? いや、最近の小中学生がこんな辛気臭いドラマは見ないだろう。となると、タイムマシンにでも乗って、昔の小中学生に見せに行くしかない。あるいは母親が幼児に見せるか?

映画が終わってロビーに出てきたら、見知らぬ人が「なんか、『風と共に去りぬ』+ジョン・フォードでしたね」と言ってた。うん、解らんでもない。あの時代のああいう映画が好きな人はどうぞ、と言うか、これはあの時代に作られた映画なのだと信じて観るしかない。

会場でバッタリ出会った会社の同僚はこう言った──「スピルバーグもとうとう焼きが回りましたね」。

これ、試写会やったの大失敗ではないかな?

どんな映画であっても、少なくとも全面否定にはならないように、一生懸命良いところを探して、ほんのちょっとでも良いから褒めるように心がけているつもりではあるのだが、この映画は大変辛かった。

映画の中では(これはよくある手法だが)イギリス兵もドイツ兵も英語で喋っている。なのに、英兵と独兵が会話するシーンがあって、英兵が「英語うまいな」などと言う──それは変でしょう? なんでわざわざそういう台詞を入れる?

ともかく、首を傾げることばかり。ディズニーとスピルバーグの間で一体どういう会話がなされた結果なのだろうか?

ある種ディズニーらしい映画ではある。ただ、ちっともスピルバーグらしい映画ではない。少なくとも僕が初めて観たときに絶望的な嫉妬と敗北感にまみれた、あのスピルバーグだとは全く思えない。ひょっとしたら単に名前を貸しただけなのだろうか?

うーむ、いくら書いても褒められないので、この辺でやめておく。無念。

褒めている人の記事を読んでみたいと思う。


【1月18日追記】 パンフによると、馬のシーンのほとんどが実写で、CG はごく一部とのこと。ひょっとしたら、スピルバーグはそれがやりたかったのかもしれない。

それと脚本家のひとりは『リトル・ダンサー』を手がけた人だと知った。あんな良い脚本を書いた人が一体どうしたのだろう?

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

ラムの大通り

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