『インセプション』
【12月31日特記】 ずっと前に WOWOW から録画してあった『インセプション』を観た。観たい映画だったのだが、公開間もないころにやや批判的な映画評を立て続けに読んで、どうしようかと迷っているうちに公開が終わってしまった作品だ。
ところが、なんのなんの、観てみると面白いのなんの! これを手放しで褒めない人がいるのか!とびっくりするくらいである。こういうのを正に「嵌った」と言うのだろう。まったくもって僕向きの映画だった。
夢の第2階層、第3階層へと「降りて」行くに従って時間が拡大して行くという設定がめちゃくちゃ面白い! 誰がこんな複雑なこと考えたのか。こういう頭がクラクラしてくる話は大好きだ。
最後ディカプリオと渡辺謙がどうやって戻ってきたのかよく解らんが、まあ、そんなことは大したことではない。この設定と展開はすごい。
そして、そもそも予告編で見て大いに興味が湧いたあの数々のCG、特撮──ぐにゃっと曲がったり無重力になったり。そして、そこで展開されるアクション。
あっちの階層からこっちの階層へと飛ぶ度に混乱して、何だか頭が100%理解しないうちに次の展開に進むのが良い。その挑戦的なリズムに嵌って思いっきり前のめりに見てしまった。珍しく「死ぬまでにもう一度観てみたい」と思った映画だった。
ただ、横で観ていた妻は、始まって1時間も経たないうちに、「難しすぎて面白くない」と言った。僕の顔を覗き込んで「面白いの?」と訊きもした。「難しすぎて解らない」ではなくて「面白くない」であるところがポイントである。
そういう人もいるのだろう。あるいは逆に、この難しい設定を楽々と読みこなした上で、そこに見つけた綻びが我慢ならないという人もいるのだろう。
とかくエンタテインメントは難しい。でも、そんな中でこのスピード感、展開の大きさ、独創性、どれを採っても、よくできたエンタテインメントなのではないかなと思った。
僕の場合は前に進めないほどの引っ掛かりはなく、綻びが見つかる前に映画は終わっていた。観客としては大正解であった。
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