洞口依子さんのこと
【12月5日特記】 一昨日書いた映画『アントキノイノチ』の記事で少しだけ洞口依子について触れた。実は僕はこの人の大ファンなのである。あまりご存知のない方のために書いておくと、苗字は「ほらぐち」ではなく「どうぐち」と読む。
映画デビューとなった黒沢清監督の『ドレミファ娘の血は騒ぐ』の頃から、僕は彼女のことが好きだった(もっともこれはビデオで観たのだが)。この映画は黒沢清の第2作で、洞口依子が主演、伊丹十三が共演しており、スタッフの中には塩田明彦や万田邦敏の名もある。
彼女はそれ以降、黒沢清の作品にもよく出演しているが、伊丹十三監督にも頻繁に使われた。
もっとも、彼女の名を大々的に売ったのは雑誌『GORO』の“激写”だろう。とても脱ぎっぷりの良い女優さんで、綺麗でエロティックな写真だった。僕は文庫版の写真集も買って持っていた。
その後、いろんな映画やドラマの脇役として活躍していたのが、ぷっつり名前を聞かなくなったと思っていたら、子宮頸癌を患い、手術や治療でものすごくしんどい目をして、そして2006年頃に復帰したという。
その後は『子宮会議』という本を出したり、ウクレレの演奏家として活動したりしながら、映画やドラマにも出演するようになった。僕は2008年の『山のあなた~徳市の恋~』で久しぶりに彼女を見て、その時に初めて彼女の病気のことを知ったのである。
だから、最近スクリーンで彼女の姿を見ると、無条件に嬉しくなる。
ただ、今回少しショックだったのはその役どころである。──岡田将生の母。岡田将生を捨てて家を出た母。今はなにか病気で入院している役柄だから、老けてやつれたメイクも当然と言えば当然なのだが、そうか、あの綺麗な裸体の彼女も遂に老境の役柄を演じるようになったのか、という驚きである。
僕よりは少しだけ下の世代であるが、年齢のバランスを考えると、岡田将生の母親であっても別におかしくはない(まあ、若い母親の部類かもしれないが)。
そこでまた、11/30に僕がこのブログで書いた記事「おじいさんのハンカチ再来」に戻ってくる。そうか、洞口依子が岡田将生の母親役をやるということは、やっぱり俺もおじいさんなのか、としみじみ思う。
もっとも、洞口依子さんは、まだ枯れるのは早い。これからももっともっと、いろんな世界で活躍してほしいと、心から応援している。
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