映画『怪物くん』
【11月26日特記】 映画『怪物くん』を観てきた。贔屓の中村監督、僕が勝手に中村器用と呼んでいる中村義洋監督の作品である。
随分期待して行ったのだが、これは期待したのが間違い(笑)。紛れもないお子様向けの作品だった。大人が観てどうと言うことはない。残念だけど、そう言うしかない、そう言って笑ってるしかない映画だった。
しかし、そもそもテレビで大野智が怪物くんに扮しているのをちらっと見ただけで、もうそれ以降彼がどの番組に出て何をしていようとも、僕には怪物くんにしか見えなくなってしまった。彼の怪物くんはそれくらいの嵌り役なのである。
そして、八嶋智人のドラキュラ伯爵と上島竜兵の狼男は如何なものかという人がいたとしても、チェ・ホンマンのフランケンに異議を唱えられる人はいないのではないか。このキャスティングの発想は天下一品である。演技の経験がないだけでなく、日本語もろくに喋れない人間を、この役でなければ一体誰が使おうと考えるだろう。
まさにそういうのを見ているだけで楽しい。客層は子供中心だが、彼らに付き添っている親たちも実は子供時代に慣れ親しんだキャラなのである。この企画の構造にはそういうカラクリがある。
松岡昌宏が扮するデモキンと稲森いずみが演じつデモリーナ、そして劇中に出てくる魔王石など、テレビのシリーズを観ていないと解らない設定も少なくない。
まあ、でも、いいか、という気持ちにさせてくれる、気持の良い映画である。ロケもセットも、CGを始めとする特殊効果も、子供向け作品と言っても何の手抜きもない。高さを生かしたカメラの動きも心地良い。大野智のケレン味たっぷりの演技もこれはこれで楽しい。
ところどころ笑える。それで良いか、という気持ちにさせてくれる。そんな映画である。
怪物くんというキャラが、完全無欠でも優れた人品骨柄でもなく、人間的に(と言うか、「怪物的に」と言うか)明らかに欠点のあるキャラであるところが、多分子供たちにとっても、魅力と説得力のあるお話になっているのではないだろうか。
『おれたちゃ怪物三人組よ』なんて劇中歌は、一体何年ぶりに聴いたのだろう。
バカバカしいけど、見なきゃ良かったとまでは思わない、そんな映画をウチは夫婦揃って、しかも 3D で見てしまった(笑)。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
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