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Wednesday, October 26, 2011

『明日のコミュニケーション』佐藤尚之(書評)

【10月26日特記】 さとなおさんの『明日の広告』に続く本である。よく売れているらしい。この手の本としては初版が25,000部というところからして破格なのに、発売10日ほどでもう増刷が決まったと言う。

しかし、そんなことは当たり前なのである。何故なら僕らはもう買う前に読んでいるのだから。

僕らは日々 www.さとなお.com で彼の言説と日常に触れ、さまざまなソーシャル・メディアを通じて彼の感じ方を知り考えを学んでいる。僕の場合は twitter や facebook での交流もあり、たまに直メールでのやりとりもあり、講演を聞かせていただいたことも何度かあり、もっと言えば短い時間だが直接お会いして言葉を交わしたこともある。

当然彼の前著『明日の広告』は読んでいるし、この本にも登場する電通の京井良彦さんの本も、あるいは同じ電通の岸勇希さんの本も、はたまたさとなおさんの古巣の電通とは最大のライバル会社なのに一緒に何度か仕事をしている博報堂の須田和博さんの本も読んでいる。

「いや、自分はそこまでの交流はない」「読むのはこの本が初めて」などと言う人もいるだろうが、濃淡の差こそあれ、みんなすでに何らかの形でさとなおさんと繋がっている、あるいは繋がり始めているのである。

なにしろさとなおさんのサイトのアクセスカウンターはなんと4,000万を回っているし、twitter では60,000人以上がフォローしているし、facebook には1,200人を超える「友達」と400人を超える「フィード購読者」がいるのである。

僕らはもうこれらの全てのメディアを通じて、もうこの本を買う前からすでに彼の考え方・感じ方を読んで知っているのである。

では、何故みんなこんなにさとなおさんと繋がっているのか?──それはさとなおさんに、あるいはさとなおさんの考え方や行動に「共感」を抱いているからである。

そう、この本をマーケティング的に捉えるなら、SIPS のSはすでに終わっているのである。あとは彼が今まで書いてきたり言ってきたりしたことを、どう整理して、どう展開するのか──僕らは興味津々でそれを読みに行っているのである。

この本は初心者に対してそれほど親切な書き方はしていない。それはさとなおさんが意識してやったことではなく、ページ数の関係もあってのことなのだろうが、結果的にそれで良かったのである。なにしろ僕らの多くは買う前から読んでいるのだから。

だから、この書評においてもちょっと端折った書き方をさせてもらって、僕がこの言説において優れているなあと思う点を断片的に抜き書きさせてもらうと、

  1. 閉じたソーシャルメディア上での分析ではなく、リアル世界への広がりをきちんと捉えていること。
  2. コミュニケーションを扱うプロに対しては、まず個人として、生身の人間としてソーシャルメディアにどっぷりと使ってみなければならない、ときっぱりと宣言していること。
  3. 自らが提唱したSIPSを喧伝するのではなく、AIDMA と AISAS と SIPS は共存するのであり、その3つを組み合わせることでコミュニケーションが強化されることを正しく指摘していること。
  4. そして、企業と生活者の関係は「広告」とか「広報」とか「販促」とか「営業」とか、領域を区切れるものではなくなるだろう、と見事に予言しているとこと。

等々だと思う。

ともかく読み始めると、そういうことが違和感なく入ってくる。よくまとまっていると感心する。そして「関与する生活者」として他人に広めたくなる。そういう訳でこんな風に書評を書いて、SIPS の最後のSである Share & Spread が完成するのである。

ああ、僕はエバンジェリストになれたのだろうか(笑)

【追記】 ひとつだけ誤りを指摘させて下さい。98ページに「F1は20-35歳の女性、F2は35-50歳の女性、M3は50歳以上の男性」というような説明がありますが、これだと35歳や50歳の人がどちらに属するのか分かりません。僕らテレビの業界では20-34、35-49、50-という年齢の区切りに対して1,2,3という番号を振るのが通常です。

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