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Wednesday, August 03, 2011

座学ノススメ

【8月3日特記】  先々月にとある監査法人が放送局向けに出したリポートを読んだのだが、その中に出てきた2つのキーワードが頭を離れないのである。

そもそも監査法人とか証券会社の経済研究所とかが放送について書いたものは、凡そ冒頭の10行以内で「これ書いてる奴、放送業界のこと解ってないよな」感が臭ってきて、最初の1ページ読み終わった時点でこの先も読むかどうか悩んでしまうものが多い。

ところが、この監査法人のリポートは珍しくよく書けていて、却々説得力があった。で、その中にいろいろ出てきたキーワードの内の2つが「キャッチフレーズ化」と「タテマエ化」である。これらは民放の経営計画が形骸化するパタンを総括している。

キャッチフレーズ化は、例えば「我が社はスーパー・コンテンツ軍団になる」などとキャッチフレーズを掲げるのだが、それが何を意味しているのかさっぱり解らない、というようなケースである。

さすがにさっぱり解らないようなキャッチフレーズを掲げる会社は稀だろうから、上記のようなキャッチフレーズは実際には極端な例ということになるが、しかし、そこまで行かなくても、じゃあそのキャッチフレーズを達成するために何をすれば良いのかがちゃんと見えてこない、伝わってこない、なんてことは非常によくあるのではないだろうか?

そして、それとは対極にあるのがタテマエ化である。例えば、「これからはコンテンツ重視で行く」などと宣言しておきながら、いざ売上予算が達成できていないとなると、「とりあえず番組制作費を削減せよ」などという命令を平気で下すようなケースである。

あるいは、「これからは現場が自主的に全てを決めて行くべきである」などと説教を垂れておきながら、それとは裏腹に上がってきた案を悉くボツにする、なんてのも同じタテマエ化に分類して良いのではないだろうか。

これを読んでしまってから、社内で見聞きするいろんな業務命令、指示、所信表明、提案、発表などが、いちいち「あ、これはキャッチフレーズ化の最たるものだ」、「ありゃりゃ、これこそタテマエ化の典型ではないか」と気になってくる。と言うか透けて見えてくる感じなのである。

考えてみれば、何割なのかと言われてその数字を言うことはできないが、僕らの先輩が仕事としてやってきたことのうちの小さくない割合が、このキャッチフレーズ化とタテマエ化に該当していたのではないかという気がしてならない。

いや、ひょっとすると、自分に限ってそんなことはないと思いながら、実は無意識のうちにキャッチフレーズ化やタテマエ化を、あるいは得意げに、あるいは苦し紛れに展開してしまったこともあったかもしれない。

そういうことに、僕はこのリポートを読んで初めて気づき、初めて認識した。そして、多分それを今後の仕事に活かそうとしている。

それはリポートを読むという行為によって初めて実現したことなのである。読まなければ、ひょっとしたらもっと長いこと気づかないままでいたかもしれないことなのである。

僕が営業外勤をやっていたときには、「席に座ってて番組が売れるのか!?」などと言われたものだ。恐らく他の部署でも似たり寄ったりのことはあったのではないだろうか。

しかし、椅子に座ってものを読んで初めて気づくこともあるのである。もし読んでなかったら振り返ってなかったなんてことはいっぱいあるのである。

前にも一度「座学が好き」というタイトルで書いたことがあったが、今回はその続編の「座学ノススメ」である。もちろん冒頭に書いたように座学に値しない屑リポートも世の中には溢れているのではあるが。

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