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Saturday, July 23, 2011

『月に囚われた男』

【7月23日特記】  WOWOW から録画しておいた『月に囚われた男』を観た。2009年のイギリス映画。日本では2010年度キネ旬88位と、まあそこそこの評価だが、公開時には結構評判になって、僕も観ようと思いながら見逃して悔しい思いをしていた作品である。

で、ひとことで言って非常によく練ったストーリー、よくできた脚本である。

ロードショーの終わった作品とは言えネタバレを書くのは気が引けるので書かないが、月の採掘基地でたったひとりの人間として働くサム・ベルの生活と秘密を描く映画である。

観ていると途中でその秘密は見えてくる。映画を作っている側もいつまでも隠すつもりはない。で、その辺のタイミングで、ストーリーをうまく転がして、見飽きないように作ってある。だから、「衝撃のラスト・シーン」みたいなことは全くないのだが、じんわりとほどほどの余韻がある。

ただ、最近の我々は宇宙からのリアルな映像を見すぎている。だから、この映画を見ると、その設定の荒っぽさや、無重力感のなさなどが多少引っかかってくるのも事実である。

基地の中は明らかに地球と同じ重力が設定されているように描かれている(でないと撮影や SFX が大変だ)が、長距離通信の不具合を修理することさえしないケチな会社が、わざわざ大金をかけて重力を設定するとは思えない。

そして、基地外のシーンでは、それなりに撮ってあるのだが、やはり人の動きに重い感じがしっかり残っている。

この辺りは、もしこれが莫大な予算をかけたハリウッド映画なら徹底的に凝って見事にリアルに描いてくるのだろう。

でも、大金をかけなくとも、オールスターキャストでなくても(と言うか、出演者がほとんどひとりしかいなくても)、アイデアだけでこれだけ面白い映画ができるのだという証明にはなっている。

今調べてみたら、監督兼共同脚本はデビッド・ボウイの息子だとか。しかも、これがデビュー作だとか。

デビュー作と聞くと、なおさらすごいなあという気がしてくる。見るだけの価値はある映画である。

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