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Thursday, June 30, 2011

請求明細に思う

【6月30日特記】 昨日クレジットカードの請求明細が届いた。で、僕がそれぞれの領収書と照合する。

僕にはそういう習慣はなかったのだが、結婚したときに妻がちゃんとチェックしなきゃダメだというので、それ以来ずっときっちりチェックしている。もっとも、妻はそういう面倒な作業が好きではないので、専ら僕がやっている。

いや、そんなことが書きたかったわけではない。それを何ら苦にしているわけでも不平を言いたかったわけでもない。書こうと思ったのはこういうことだ。

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Wednesday, June 29, 2011

『コクリコ坂から』マスコミ披露試写会

【6月29日特記】 映画『コクリコ坂から』のマスコミ披露試写会に行ってきた。

自慢じゃないが、ジブリの映画で僕が観たのは『おもひでぽろぽろ』だけである。テレビで観たものを含めても、それに『千と千尋の神隠し』が加わるのみである。

そんな僕の感想だから、スタジオジブリの固定ファンの皆さんから見れば、随分的外れなものかもしれない。しかし、せっかくご招待いただいて見せてもらったので、僕なりの感慨を書き留めておきたい。

僕の好奇心がまず向かったのは、この3Dアニメ全盛の時代に何故このような平面アニメが受けるのか、という謎解きだった。

CGに比べると確かに動きがぎこちない。セルの枚数もそんなに多くないのだろうが、枚数を増やせば追いつくというものでもない。

カルチェラタンの内部とか高台から見下ろす海とか、高さを活かした構図は大変面白いんだけれど、人やものの動きがスムーズでないので、ちょっと気をそがれたりしてしまう。

でも、そんな中で人間のちょっとした所作というものをあまりに見事に捉えていて、時々はっとするところがあるのである。

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Monday, June 27, 2011

書くこと、PCで書くということ

【6月27日特記】 人事異動で先週木曜日から新しい職場に移った。そして、今まであまりやったことがなかった、偉い人たちの会議に出て議事録をとるというつまらない仕事が増えた。前任者たちは代々この仕事をかなり苦にしてきたようだ。

が、僕は別にそれほど苦にも気にもならない。元来書くことが好きなのだ。いや、好きだという意識がはっきりとあるという感じでもない。むしろ、結果として好きだったということなんだな、という感じ。

書くと良いことがたくさんある。まず、書けば考えがまとまる、整理される。書けば記憶に定着する。口伝えと違って、書いたものはニュアンスを曲げにくい、隠滅しにくい。そして、書けば書くほど書くのがうまくなる。

──そんな風に思えるということが、裏返せば、好きだということの証なんだろう。

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Sunday, June 26, 2011

『ウルトラQ ハイビジョンリマスター版』

【6月26日特記】 今日から WOWOW で「世界初公開!『ウルトラQ ハイビジョンリマスター版』一挙放送」が始まった。世界初とは、これまたすごいタイトルがついている(笑)

ハイビジョンリマスター版と言ってもモノクロであるから、全然すごいとか綺麗だとかいう感じはしない。もっとも来月には後付けのカラー版企画も控えているのではあるが。

なにしろ45年の時を経ての復活である。「懐かしい」などというひとことで括れるような番組ではない。

プロットもさることながら、あのモノクロの陰影が強烈に印象的であった(むしろカラー化なんて邪道ではないかという気もする)。小さかった僕の心に住み着いたままになっているテレビ番組なのである。

とりあえず今日は2話。明日は今日と同じ2話が編成されていて、原則として月~木ベルトで2話か3話ずつ、全28話が一挙に放送される。僕の記憶では、面白いのは3話以降である。

確かこの後『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』が続き、『怪奇大作戦』を挟んで、以後延々とウルトラマン・シリーズへと繋がって行ったのではなかったか。その一連のシリーズの中で、怪獣や宇宙人をやっつけるヒーローが登場しない『ウルトラQ』と『怪奇大作戦』は今から考えると逆に異色だった。

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Saturday, June 25, 2011

定年後

【6月25日特記】 小さい頃は「おとなになったら」。大人料金で電車に乗るようになったら「高校に入ったら」。その後は「大学生になったら」。「成人したら」っちゅうのは僕の場合はなかったなあ。そして、「自活できるようになったら」。

僕らはずっとそんな風にして夢を見てきた。うん、僕の場合は「目標を立てる」という感じではなく、まさに夢を見てきた感じ。

小さな夢なら実現したものもある。小さな頃から夢見続けて、未だに叶わぬ夢もある。それでも「次は」、「その次は」と夢を繰延べて行く。

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Thursday, June 23, 2011

今日の BGM#59

【6月23日特記】 さて、今日も例によって2回分を書き留める。

  1. ここは六日町あたり(斉藤哲夫)
  2. 魔法の黄色い靴(チューリップ)
  3. 中央フリーウェイ(荒井由実)
  4. S.F.少年(鈴木慶一)
  5. ぼくの好きな先生(RCサクセション)
  6. たそがれのメイク・ラヴ・カンパニー(久保田真琴と夕焼け楽団)
  7. 月にハートを返してもらいに(鈴木慶一)
  8. 赤と黒(岩崎良美)

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Tuesday, June 21, 2011

(お願いしても仕方ないですが)TBの原則

【6月21日特記】 いただいたトラックバックを1つ削除させてもらいました。

それはTBS月曜ゴールデン『遺品整理人谷崎藍子II』の記事についた TB で、TB先はいろんなドラマや番組でタレントさんや出演者が身につけていた洋服やアクセサリを売るサイトでした。しかし、そのサイトにはこのドラマや、あるいは主演の高畑淳子さんに関するものはありませんでした。

何度か書いているのですが、私がいただいた TB を承認するかどうかは、当のその記事との連関が深いかどうかです。連関が深いものは承認するし、連関の浅い、あるいは全くないものは削除する──それだけのことであって、「人のサイトから TB して商売しようなんてさもしい根性は許さん!」などと言う気はさらさらないのです。

ここらで久しぶりにもう一回そのことを書いておこうかと思いまして…。

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Monday, June 20, 2011

6/20サイト更新情報

【6月20日特記】 サイトを更新しましたのでお知らせします(このブログのことではなく、併設している私のHPの更新案内です)。

今回も例によって書評と、レギュラーで更新している言葉のエッセイがひとつずつです。

書評は、昨日映画も見てその評を載せたばかりの「プリンセス・トヨトミ」です。エッセイのほうには「おしっこと貼り紙の言語社会学(?)」というタイトルが付いていて、ま、人気シリーズ(?)である「はてしないトイレ談義」の第5弾だと思っていただければ結構です(笑)

という訳で、今回の更新は以下の通り:

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Sunday, June 19, 2011

映画『プリンセス・トヨトミ』

【6月19日特記】 映画『プリンセス・トヨトミ』を観てきた。

興行的にはそこそこの成績を収めているようだが、まあ、褒める人のいない映画である。自分の身の周りの知人・友人、ブログ、twitter などでいろいろ見聞きしたが、褒めていたのはわずかにひとりだけである。

そして、褒めない人たちに不思議な傾向があって、それはボロカスにこき下ろす人はあまりおらず、大抵の人が「残念な作品」「残念な出来」と評することである。

僕の場合は映画を観ようと思っていた矢先(と言っても公開の少し前だが)に、原作を先に読んだほうが良いと強く勧めてくれる人がいて、慌てて買って読んだのである。だから、ここで原作だけ読んで終わりにするわけには行かない。なんとなく皆の不評が気になって腰が引ける面もあったが、自分を鼓舞して劇場に足を運んだ。

ところが…、いざ観てみると、ちっとも悪く思わなかったのである。困ったー(笑)

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Saturday, June 18, 2011

映画『東京公園』

【6月18日特記】 映画『東京公園』を観てきた。青山真治監督。

最初に思ったのは、観ていても登場人物同士の関係性が却々見えてこないということだった。それは僕がストーリーについて何の予備知識もなく観に行ったのがいけなかったのかもしれない。しかし、結局それで大正解だったと自分では思っている。

初めのほうのシーンに、写真集の表紙や著者名、主人公の光司(三浦春馬)の部屋に貼ってある大きな写真などという形で出て来る志田京子(井川遥)という人物を、僕は、単に春馬が憧れている著名な写真家であり、今もどこかで活躍している人物だと思っていた。

それが途中で光司の亡くなった母親であると気づいた。言われてみれば光司の苗字も志田であったが、そんなことを彼が苗字で呼ばれた最初のシーンで気づくはずもない。

そして、光司がアルバイトしているバーに客として現れる美咲(小西真奈美)を、僕はなんとなく恋に至る直前くらいの感じで引き合っているカップル予備軍なのだと思っていたのだが、実は血の繋がらない姉弟だった。これは彼らが病気で入院した母親を見舞いに行くシーンで初めて気がついた。

確かに2人の最初のシーンで光司は美咲を「ねえさん」と呼んでいた。ところが、これを僕は実の「姉さん」ではなく、ふざけて呼びかけた「姐さん」だと勝手に解釈していたのである。

そして、富永(と、光司は苗字で呼ぶ)(榮倉奈々)は光司の幼馴染みであるが故に今すぐ恋には結びつかないものの、やがては美咲の恋敵として現れるのであろうと見ていた。

ところが、富永は光司の亡くなった親友であるヒロ(染谷将太)の元カノで、亡くなってからまだ日も浅く、富永も全く吹っ切れておらず、とてもじゃないけれど光司と恋に堕ちるようなシチュエーションではなかった。

そして、このヒロも既に死んでいる人物であると判るのは映画も序盤を過ぎる頃になってからである。

こうして、僕が勝手に思い込んで見ていた関係性は一旦悉く裏切られるのであるが、意外なことに映画の進み行きに従って、この関係性は壊れてくるのである。この関係性は変容してくるのである。

そう、この映画は人と人との関係性を見つめ直す映画なのである。

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Friday, June 17, 2011

【6月17日特記】 年に1回の歯科定期健診で歯科医が言った。

歯の根元のほうが少し茶色くなってますね。煙草お吸いになりますか?

いえ、やめました。

いつごろですか?

4~5年前です。

ああ、じゃあ煙草じゃないなあ。

と、そこでベテランの歯科衛生士が「×××××ですよ」と言ったのだが、ちゃんと聞き取れず。

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Wednesday, June 15, 2011

痛快

【6月15日更新】 人やものを批評する際、痛快というのは存外狙うには難しいものである。

言ったり書いたりしている本人が痛快だと思っているだけであれば、それは往々にして雑言や暴言でしかない。

まず、批判される対象はある種「権威」でなければならない。それは外せない条件だ。弱者や地位が下の者、あるいは自分と同じレベルで争っている者を責めることで、読者あるいは観客に「痛快」に思ってもらおうと考えてはいけない。

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Tuesday, June 14, 2011

ビーケーワンの誤り

【6月14日特記】 いつも書評を投稿しているオンライン書店<ビーケーワン>からメールが来た。曰く、書評投稿規定の改定により 6月1日投稿分から書評内での外部サイトへのリンクの記載が禁止されることになった、と。

ご存じの方もあるかもしれないが、僕は書評の最後の署名から自分のホームページへのリンクを張って来た。しかし、これからはそれが禁止だと言われればそれに従うしかない。と言うか、従わないとなれば今後一切投稿はしないという選択肢しかない訳だが、そこまでの不利益を被ってまで抗議しようとは思わない。

ただ、とても残念である。これは時代の趨勢に逆行した愚かな決定であるとしか思えないからである。

かつてはサイト内のヘルプに書評文中でのリンクの張り方が書いてあったのに、いつの間にかそれがなくなっていて、なんかちょっと嫌な気がしていたのである。やっぱり結局そういうことになるのかい、という気分である。

インターネットの黎明期に於いてはリンクを張るという行為は決してありふれた日常などではなく、言わばひとつの「技」であった。だから、「承諾なしにリンク禁止」みたいなサイトがいくらでもあった。

しかし、ブログの時代がやって来て、リンクはもはや当たり前のサービスになった。いちいち許可を得る必要はないのが標準である。むしろ、リンクを張っていないことのほうが不親切として非難されるべきものとなった。

そして、リンクを超えて、今やエンベッドの時代である。自分のサイトの中に他人の動画を埋め込んだり、あるいは逆に他人のサイトの中に自分の動画が埋め込まれたり、相互にそういう風に繋がるのがインターネットの常識になってきた。

そう、相互に繋がってこそインターネットなのである。

それを今回 bk1 はぶった切ろうとしている。何故なのだろう?
リンクを張られるとどんな不利益があると言うのだろう?

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Monday, June 13, 2011

アメリカのシリアル

【6月13日特記】 たまたま最近朝食にシリアルを食す機会が増えているのですが、やっぱりシリアルは国内産ですよね。と言うよりも、アメリカのシリアルって何であんなに味気ないのでしょうか?

原料となっている穀物の種類とか、ドライフルーツなどの添加物の数とか、バリエーションとしては日米ともに豊富で、その点ではそんなに差はありません。しかし、その味たるや、これほど差が出るのは何故? と言うか、アメリカではそれなりに評価されて売れているはずなので、ならば日米の嗜好がこれほど違うのは何故なのでしょう?

一般論ですが、アメリカのシリアルは元々パサパサした感じが強い上に、ミルクを吸って柔らかくなることがあまりありません。だから、食感としてはなんか豚用の飼料を食べているような感じです。

逆にミルクにシリアルが溶け出しても来ず、日本のものにミルクをかけて食べている時と違って、いつまでたってもミルクはその白い色を維持しています。日本製の場合の最後のほうに残った少し茶色っぽいミルクとえらい違いです(そして私はあの茶色っぽいミルクが割合好きだったりするのです)。

なんか違うんですね、味の嗜好が。

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Sunday, June 12, 2011

映画『奇跡』

【6月12日特記】 映画『奇跡』を観てきた。是枝裕和監督。

見ていて感じたのは、今回の映画にはここのところの是枝作品に共通の“凄み”みたいなものがないということ。何かしら過酷なものを描いて圧倒的な感動に持ち込んでいたスタイルが少し変わったように思う。

それは今回の映画が子どもの映画であったからかもしれない。しかし、それを言うなら『誰も知らない』だって子供の映画である。あそこにあった過酷さもない代わりに、見終わっての圧倒的な感動もないように思った。そういうのもアリかな、と思いながら、少し物足りない気持ちがしたのも事実である。

この映画は九州新幹線開通に因んだ、JR九州が特別協賛についた映画である。その割には余計な宣伝臭は全然ない。スポンサーにはもっとベタなものを期待した人もいただろうに、大丈夫だったのかな、と少し心配になるくらいである。

航一と龍之介(まえだまえだの前田航基と前田旺志郎)は小学生の兄弟。元々は大阪で親子4人で暮らしていたのに、両親の離婚に伴って航一は母のぞみ(大塚寧々)の実家である鹿児島で、和菓子屋の祖父・周吉(橋爪功)、祖母・秀子(樹木希林)と4人で暮らしている。一方弟の龍之介は売れないミュージシャンである父・健次(オダギリジョー)と一緒に福岡にいる。

ある日航一は、九州新幹線開業の朝に博多からの“つばめ”と鹿児島からの“さくら”の一番列車がすれ違うときに奇跡が起こるという話を聞く。両親と一緒にもう一度大阪で暮らすことを請い願う航一は2人の友だちと、新幹線がすれ違う地点である熊本に行ってみることにする。

そして、兄から電話で誘われた龍之介もまた、3人の友だちを連れて博多から熊本に向かう。そして、その日の朝、まさに新幹線がすれ違う瞬間…、という筋である。

この7人の子供たちがものすごく良い。どう見ても与えられた台詞を暗唱している感じではないところがいっぱいあると思ったら、案の定子供たちには台本を与えずにその都度口頭で説明しながら撮影を進めたと言う。確か『誰も知らない』でもそういう手法を採ったのではなかったか。

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Saturday, June 11, 2011

洋皿と愛着

【6月11日特記】 今日、お皿が一枚割れた。いつからとはっきりした記憶はないが、多分結婚してまだ日が浅いうちから使っていた洋皿。柄はピーターラビット。

買ったものではない。多分何かの景品か、懸賞に当たったか。なのに妙に愛着がある。阪神淡路大震災の、恐らく震度6と7の中間ぐらいの揺れにも割れずに生き残った皿。

結婚当初に買い揃えたものはもうかなり壊れたり擦り切れたりして買い換えている。家具を別とすれば、あの頃からずっとウチにあるものって一体何だろう?

結婚祝いに元同僚の女性3人がくれたベンジャミン・ゴムの鉢植えくらいだろうか(2回植え替えたけど)。

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『プリンセス・トヨトミ』万城目学(書評)

【6月11日特記】 映画を見ようと思ったのだが、原作を先に読んだほうが良いと強く勧められて文庫本を買った。

今までに読んだ万城目学は『鴨川ホルモー』1冊だけである。京大卒の京都の人だと思っていたが、生まれ育ちはこの小説の舞台である大阪城周辺で、大阪城にはひとかたならぬ思い入れを持っている人なのだそうである。

全然本を読んでいない人でも、映画の印象的な予告編で大体の内容は知っているのではないだろうか。

会計検査院から3人の調査官が大阪にやってくる。そこで大阪国なる国があることが判り、大阪国大統領である真田幸一の号令一下大阪国民が立ち上がる──なんのことだかわからんが、多くの人が映画の予告編から仕入れたあらすじは、ま、こんな感じだろう。

言うまでもなく奇想天外な小説である。で、最後まで読み終わってよくよく考えてみると、いくつか細部で辻褄の合わないところもある。しかし、その辻褄を無理やり合わせて、どうだ、よく考えただろう、というタイプの小説ではないのである。

とんでもない非日常を描いておきながら、そこで描かれているのはむしろ気のいい大阪人の日常である。それは幾分、いざとなったらカッコいい大阪のおっちゃんらという風にも描かれている。

最後の最後まで読むと、大阪のおばちゃんらも面目躍如となる──その部分がこの小説の白眉ではないかと僕は思うのだが、もちろんネタバレになるのでこれ以上は書けない。

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Thursday, June 09, 2011

照明のモード、成長のモデル

【6月9日特記】 出張で東京に来ている。地震以降2回目だが、依然として照明が落としてあったり、エスカレータが止まっていたり。これでもエスカレータはだいぶ動き出したとのことである。

照明は、一番明るい蛍光灯の部分を間引いてあるので、以前との比較の中では結構暗さが際立つ。でも、考えてみたら、アメリカやヨーロッパに行くと夜はこんなもんかなあとも思う(もちろん欧米にも一晩中輝いているネオン街はあるにはあるが)。

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Wednesday, June 08, 2011

英記茶荘を惜しむ

【6月8日特記】 全然知らなかったのですが、英記茶荘って日本から撤退してたんですね。2009年に。今ごろ知りました。大ショック!

香港の中国茶専門店。お気に入りの店でした。東京勤務時代には神泉のお店に何度か買いに行きました。大阪に転勤になってからはインターネットで注文したことも何度かありました。新装なった丸ビルに出店したときはとても嬉しくて、東京に出張や旅行で行った折に何度か買いに寄りました。

いろんなお茶を買いましたが、一番気に入っていたのは「雀舌香片(じゃくぜつしゃんぺん)」でした。僕はいまだにこれほど気に入ったジャスミン茶はありません。

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Tuesday, June 07, 2011

映画『軽蔑』

【6月7日特記】 映画『軽蔑』を観てきた。僕は中上健次という作家は読まずに来た。この原作も読んでいない。この作家、この原作については、もっと社会的な、と言うか、新しい世代と旧い世代の激突の構図を描いた政治的なお話だと勝手に思っていたのだが、全然違った。

これは田舎のしがらみだらけの生活と都会の自由な生活を対比させ、そこに若者の身勝手と鬱屈を重ね描いた、むしろ古典的なテーマである。そして、途轍もない純愛ドラマである。原作もこんなテーストだったんだろうか?

僕の目当ては鈴木杏であり、監督の廣木隆一であった。

鈴木杏は1999年の『ヒマラヤ杉に降る雪』で初めて見たとき(まだ彼女は中学生になったかならないかという年齢であったはずだ)から、この子は必ず出てくるだろうと思って期待していた。2004年の『花とアリス』以降、『頭文字D THE MOVIE』以外の出演作は全部見てきたが、紛れもなくこの『軽蔑』が彼女の最高傑作となるだろう。

決して美人女優ではない。しかし、表情がとても良いのである。

カズに初めて向き合って「ちゃんと誘って」と言ったときのオドオドした眼の動き、カズに載せられた軽トラの窓から風に吹かれているときの、恋をしている女の表情。切羽詰ったときの、負けまいとする強い眼の輝き。ファンとしては、なんとかこの作品で賞を獲らせてあげたいなあと思う。

眼と言えば、高良健吾もまた眼力(めぢから)の強い役者である。

初めて見たのは青山真治監督の『サッド ヴァケイション』で、異父兄である浅野忠信にボコボコにされる少年の役だった。ものすごく印象に残ったのに、あの時なぜだか僕はこのまま消えてしまう役者だろうと思った。それが今では軒並み主演作が続く大物になった。

映画はこの2人の純愛物語である。

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Monday, June 06, 2011

6/6サイト更新情報

【6月6日特記】 サイトを更新しましたのでお知らせします(このブログのことではなく、併設している私のHPの更新案内です)。

今回も例によって書評と、レギュラーで更新している言葉のエッセイがひとつずつです。

書評は最近文庫本で復刊した『青春の門』<挑戦篇>、エッセイはシリーズものになっている「当意即妙の受け答え」の第4弾です。

という訳で、今回の更新は以下の通り:

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Sunday, June 05, 2011

TBS月曜ゴールデン『遺品整理人谷崎藍子II』

【6月5日特記】 録画しておいた TBS月曜ゴールデン『遺品整理人谷崎藍子II』(MBS制作)を観た。前作が良かったので。そう、まさに僕以外にも前作が良かったと思った人が多かったからこそ、このシリーズ第2作が実現したのだろう。

前作では栗山スミ子(加賀まりこ)が経営する遺品整理会社に新人の工藤(窪塚俊介)が入ってきて、思ったよりも遥かに大変な仕事内容に怖気づきながら、先輩である谷崎藍子(高畑淳子)の一途な仕事ぶりに感化を受けて、この仕事を続けて行こうと心を決めるところまでが描かれていた。

今回も前作同様、工藤の語りで物語は進められる。そして前回同様、月曜ゴールデンらしくやっぱり殺人事件で幕を開ける。しかし、このドラマは、いろんな職業の登場人物が警察そっちのけでいろんな事件を解決して行くという、2時間ドラマにありがちなテーストではない。

「どんな人間でも遺品をつぶさに観察してみれば、その人の送ってきた人生が見えてくる」というのがテーマ、あるいはキー・コンセプトで、描かれるのはひたすら人間である。犯人であれ被害者であれ、悪人/善人という単純な割り切り方は決してできないものであり、曰く言いがたい人生の葛藤が見えてくるものなのである──そんなことをこのドラマは言っている。

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Saturday, June 04, 2011

サラリーマン

【6月4日更新】 不本意な業務命令を受けたときに、「自分もサラリーマンなので従いますが」などと言う人がいる。僕はあれが大嫌いなのである。

サラリーマンであるとかないとかなんてなーんも関係ないではないか。もしも自分がサラリーマンであるという事実を持ち出すのであれば、サラリーマンである限りあらゆる業務命令に従わなければならないのは当たり前で、特定の命令に限ってどうこう言うような問題ではない。

人は、生まれ落ちた瞬間から、山に籠って隠遁生活でも送らない限り、終生どこかしら何かしらの組織の一員である。そこには守らなければならないルールや従わなければならない命令がある。

その一方で、人は本来何でも自分で自由に考えて判断して行動できる存在である。

人が何かを行うときは常にその両極端の側面に挟まれた、大きな振れ幅の中でひとつずつ決めて行くのであり、サラリーマンだから従うとか従わないとか言うような単純なものではない。

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Thursday, June 02, 2011

就職活動と就活

【6月2日特記】 就活という言葉は使われ始めて久しいが、かと言って何十年も前からあった略語ではない。事実僕らが就活をしている時代にはなかった表現である。始めて耳にしたときには、冗談でもなんでもなくシュウマイとカツかと思ったくらいで、何の意味だか解らなかった。

もちろん、僕らの学生時代から就職活動という活動はあったし、就職活動という言葉もあった。ただ、それを略して就活と称することはまだ誰もやっていなかったのである。

なぜ、略語化が進んだのか──そんなことは誰にも分からないが、推論としては2つ成り立つ。

  1. 時代とともに、なんでもかんでも略語化する傾向が強くなってきた
  2. 就職活動という熟語の使用頻度が上がったために略語化が進んだ

まあ、どちらの要素もあるだろう。

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Wednesday, June 01, 2011

わかりません

【6月1日特記】 facebook に会社の同僚が似たようなことを書いていたのですが、自分が若い頃には、40歳や50歳になればもっと大人で、どしっと落ち着いて、迷いもなく、毅然とした存在になっているだろうと思っていました。ところが、実際は全くそんなことはなくて、むしろ20歳の頃の自分とあまり変わり映えしてなくて、なんだかげっそりしてしまいます。

そう考えると、ひょっとすると、自分が子供の時、親は当然ながらとても大人で、迷いのない存在だと思っていたのですが、実は今の僕と同じように悩みに満ちた存在だったのかもしれません。

しかし、一方で、自分が会社に入ったばかりの頃の上司たちは、まず非常に偉くて(なんか振舞いが偉い人の振舞いでした)、ビシビシ判断してバリバリ指示を出していたようにも思います。

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