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Friday, May 27, 2011

試験

【5月27日特記】 大学の4年間、塾で中高生に英語を教えていた。言うまでもないが、出来の良い生徒と悪い生徒がいる。その出来の悪いほうの中学生の話。

僕が試験問題に出したのは英文和訳だった。Remember で始まる短い命令文。多分 remember doing と remember to do の違いが解っているかどうかを確かめたかったのだと思う。

ところが、出来の悪い中学生であった彼はこんな答えを書いた。

レメンダさんは(以下略)

その時は、ふーん、なるほど、そう来たか、と純粋に感心した。ただ、そういう風に解釈するのであれば、レメンダさんではなくて、せめてレメンバさんと書いてくれないとな、と笑った。いずれにしても全然ダメな答えである。

でも、今になってこんなこと言うのもなんだが、この解答は彼が3つのことはなんとなく解っているということを物語っている。

  1. 「レメンダさん」の部分、上にも書いたように b と d を読み間違えているし、まるっきりローマ字読みだが、でも最後の部分はドイツ語みたいにレメンデルにはなっていない。つまり、-er はカタカナで書くとアーに近い音になるということをちゃんと知っている。
  2. そもそも Remember を人名だと思ったのは、語頭が大文字になっていたから。つまり、大文字になっているからと言って固有名詞であるとは限らないが、逆に言えば固有名詞が大文字になることは恐らく解っている。
  3. Remember を動詞の命令形(というものを理解していたかどうかは分からないが)ではなく主語だと解釈したのは、この単語が文頭にあったから。主語が文頭に来るとは限らないが、短い文ではかなり高い確率で冒頭に来る。そのことは感覚として身についていたと思われる。

当時の僕はここまで深読みすることができなかった。だから、もうほとんど記憶に残ってはいないのだが、多分答案を赤ペンではねて、この設問については0点としただけで終わったと思う。今思えばあまり良い教師ではなかったと思う。

彼を呼んで褒めるのが適当であったのか、それともそれだけでは意味がなかったのかは判らないが、少なくとも彼が上に書いた3つぐらいのことは大体解っているのだということをしっかりと意識した上で、教師として次の手を打つということが本来僕に求められたことであったはずだ。

あれから30年近くも経ってから、こんなこと思い出して考えてみても仕方のないことだが、会社の定期人事異動の季節を迎えて、藪から棒にこんなことを思い出した。

僕は今、自分の部下たちを、こんな風に見てやっているだろうか?

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