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Sunday, April 24, 2011

ドラマW『遠い日のゆくえ』

【4月24日特記】 録画したままいっぱい溜まっているドラマWの中から『遠い日のゆくえ』を観た。これは第3回WOWOWシナリオ大賞受賞作である。今回の受賞者、即ち脚本家は福島敏朗という人。経歴は書いてないので分からない。

主人公は遺品整理の会社の見習い社員・宮脇孝志(永山絢斗)。僕が勤めている局も2~3年前に遺品整理人のドラマを作ったけれど、『おくりびと』以来、こういう人の死に関わる職業がよく取り上げられるようになったと思う。

ただし、このドラマは遺品整理の仕事を正面から描いた話ではなく、それはあくまで話の入り口である。58歳で所謂「孤独死」をした沢村希和子(風吹ジュン)の日記帳を孝志が読んでしまったことが発端となり、そこからは孝志が狂言回しとなって希和子の中学入学から死に至るまでの人生が描かれる。

で、もちろん孝志は単なる狂言回しでは終わらない。脚本を作る上でのある種定番の手法として、孝志の人生と希和子の人生が重ねられるのである。

その孝志は、最初のシーンから暗く、見るからに憂いを秘めている。それが何によるのかが次第に見えてきて、最後にはその暗さや憂いを乗り越えて行くという構成で、これはしかしあまりにきれいに型に嵌っていて面白くないと言えば面白くない。

随所にそういう教科書通りみたいなまとまりの良さが見える脚本で、そういう意味での好き嫌いはあるだろうが、しかし、まあ、お話としてはよく練られている。あっちのエピソードとこっちのエピソードを巧く計算して繋いでいる感じがする。この辺りが評価されての受賞となったのであろう。

これから観るという人はほとんどいないだろうが、一応ネタバレを避けて書くと、もうひとり重要な人物として登場する今西桜子(富田靖子)という女性がおり、この今西の娘の人生が、上で述べた希和子と孝志の人生に重ねられて三重構造となる辺りは見事である。

若い女優たちが非常に良い。ひとりは希和子の中学生時代を演じた瓜生美咲、もうひとりは孝志が希和子の故郷金沢を訪ねたときの案内人役になる大学生を演じた菊池亜希子、それから名前が判らないのだが桜子の長女役、そして孝志の妹役も良かった。

で、視聴者に予測させない意外な展開を重ねる中で描かれるのは孝志の成長である。一本気で思い込みが激しく、いろんなことを選り好みしたり逆に避けたりして生きてきた孝志が、他人の苦悩や傷を知り、その頑なな心が溶け、見える世界も広がって行く──却々良い展開である。

しかし、最後のシーンで主人公の孝志に生きることの喜びみたいなことを独白で語らせたのが全てを台無しにしてしまった。余韻というものをぶった切って消してしまったのである。これは蛇足という以外の何ものでもない悪台詞だった。テーマをそのまま台詞にしてはいけない。

多分設定と筋運びの妙が売りの脚本家であり、台詞はあまり上手くない人なのではないか。『遠い日のゆくえ』というタイトルも上手くない。原作時のタイトルであった『仄かに薫る桜の影で』も良くない。

まあ、でも、遺品整理業という設定の妙もあって、非常に独自性のあるお話でドラマとしては面白かったし印象にも残った。監督は『釣りバカ日誌』の朝原雄三。他に三田村邦彦、寺脇康文、高橋和也などが出演。

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