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Friday, April 01, 2011

表彰前夜

【4月1日特記】 明日(と言うか日付の上では既に今日だが)、新入社員と一緒に入社式に出て永年勤続の表彰を受ける。何年かひたすら辛抱していれば誰でももらえる賞だ。

で、思い出すのは自分が入社して間もない頃のこと。研修が終わって僕が配属された営業局には「中之島」と呼ばれるスペースがあった。

そこは営業第一部でも第二部でもネットワーク業務部でもなく、フロアのちょうど中央辺りに、確か局次長と局付き部長と部付き部長の3人がデスクの「島」を作って座っていた。だから僕らはそこを密かに「中之島」と呼んで、そして彼らを密かに軽蔑していた。

その方々は、今ではごく普通に言うが当時はあまり用いられなかった表現で言うと、ラインではなくスタッフのお歴々だった。

そして、彼らは大抵暇そうで、新聞や週刊誌を読んだり、契約社員の女の子に冗談を言ったり、訪ねてきた古馴染みの広告代理店の人たちとだべったりしていた。ま、だべるのも営業の仕事のうちだからそれはそれで良いのだが、時々妙にやる気を出すと決まって飛んでもないことをしでかしてくれた。

例えば、他のどのスポンサーよりも安い値段で勝手に売ってきたり、あるいはもう完売していて売るべきCM枠がない番組を売ってきたり、器用な人はその両方をいっぺんにこなしてくれたりしていた。

考えてみれば、僕らが今彼らの年齢なのである。そうか、僕らも漸く、と言うべきなのか遂にと言うべきなのか判らないが、ともかく彼らの域に達したということなのである。

当時は定年が55歳だったから、彼らは期限切れ寸前の使い捨てカイロみたいなもんで、どこで燃え尽きるかを考えれば良かった。しかし、定年が延びた僕らは、まるで地震の際に持って逃げる避難袋に入れてあるのだけれど、実は来月には消費期限が切れてしまう使い捨てカイロみたいなものである。

そんなことを思って、今あの時の彼らの年齢に達した自分を振り返ってみると、頭に思い浮かぶ表現はただただ「切ない」ということだけである。

今の若い諸君や、それこそ今日の入社式で一緒になる新入社員の諸君からすれば、「僕はそんな切ないなんて日は決して迎えないぞ」と思うかもしれない。僕も、そうだね、君らはそうであれば良いね、とは思う。そんな風に祈ってあげても良い。

ただ、ひとつだけ言えることは、僕が感じている「切ない」は恐らく若い諸君が考えている「切ない」とは少し違う。「切ない」は一色の感情ではない。「切ない」はまだらである。

そして、その感慨は、あの中之島の人たちがあの頃の自分たちに感じていたイメージとも全く違うだろう。いや、それどころか、今日一緒に永年勤続表彰を受ける同期の連中とも多分随分違うような気がする。

結局、個人が組織の中で生きて、組織の中で仕事をするということ自体が「切ない」のではないかという気がする。いや、重ねて言うが、「切ない」は一色の感情ではない。「切ない」はまだらである。

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