『schola 坂本龍一 音楽の学校』
【2月13日特記】 お正月に一挙再放送したときにNHKから録画してあった『schola 坂本龍一 音楽の学校』を今順番に見て行っている。
読んで字の如く坂本龍一が音楽の講義をする番組である。全12回のシリーズは3部構成になっていて、最初の4回がバッハ編、次の4回がジャズ編、最後の4回がドラムズ&ベース編で、僕は今第7回、つまりジャズ編の3回目まで見終わったところである。
めちゃくちゃ面白い。何がどう面白いかって、もちろん音楽史的に、音楽理論的に面白い。こういうのをやれるのがNHKの強みであるし、こういうのをやるのがNHK教育の究極の使命なのだと思う。今後もどんどんやってほしい。
で、各回とも構成は大体同じで、収録ベースで言うと3つのパートに分かれている。
まずは坂本龍一とゲストの鼎談(メンバーは各編の中でも入れ替わることがある)。そして、坂本龍一やゲストによる演奏。そして公開授業のようなもの。OA上はこの3つを少し刻んでジグザクに繋ぐという編集になっている。
この公開授業には全国から音楽をやっている中高生が選ばれて参加しているのだが、彼らはスタジオに自分の楽器を持ち込んで、まずは座って講義を聴くのだが、そのあとそれぞれがアレンジをしたり、坂本龍一やゲストとセッションたりするのである。これがめちゃくちゃ素敵なのである。
どうやら中高生スーパー・ミュージシャンを集めたわけではなさそうだ。音楽的にかなりいい線行ってる奴もいるが、どうもそれほどパッとしない奴もいる。アレンジやアドリブをやらせるとその辺の差が如実に出る。でも、楽しいだろうなあ、と思うのである。
あるいは、スタジオで取り組んでいるときはいっぱいいっぱいで楽しむなんて無理かもしれないけれど、間違いなく一生忘れられない経験になるだろうなあ、と思うのである。
ひょっとするとこのメンバーの中から将来ビッグ・アーティストになる奴が出てくるかもしれない。事実、ちょっと信じられないくらい良い演奏をする生徒もいた。坂本龍一と山下洋輔が手を叩いて大喜びする様も映じられていた。
こんな場で素晴らしい演奏をした奴が将来名を上げるのかもしれない。あるいは、このときは本領を発揮できなかった奴が後から伸びてくるのかもしれない。あるいは逆に、このときはこんなに素晴らしい演奏をしたのに、もう後は全然ダメという生徒もいるのかもしれない。
それでも良いではないか。多分、彼らにとって一生の思い出だろうし、何よりも音楽との触れあい方としては至高の部類を経験しているのである。
多分自分でも録画しているだろう。たった4小節とはいえ、私はこんな素敵な旋律を弾いた、俺はこんな奇跡的なアドリブを吹いた、などと振り返るだろう。あるいは、ああ、こうやって見ると自分にはやっぱりこいつらのような才能はなかったんだ、と納得するのかもしれない。
どっちにしても、音楽に対する好感は続くだろう。素晴らしい試みだと思う。これが音楽の愉しみである。あと5回、僕も愉しみながら観たいと思う。
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