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Sunday, February 06, 2011

『ハイキックガール』

【2月6日特記】 TSUTAYA DISCAS から取り寄せた『ハイキックガール』を観た。TVドラマ『ドグーンV』でドロちゃんを演じた武田梨奈の主演作。西冬彦監督作品。

ロードショー公開中に観ようと思っていたのだが、期間が短くて見逃してしまった作品。『ドグーンV』が始まる前に観ようと思っていたのだが、結局『ドグーンV』1クールが終わって随分経った今ようやく見ることができた。

で、噂に違わぬ本格空手映画なのだが、少し残念ではある。

強くなりたいという気持ちにはやって街中での他流試合に血道を上げる高校生・土屋圭(武田梨奈)。彼女は恩氏・松村(中達也)の教えが飲み込めず、暴走の果てに松村を狙う「壊し屋」たちの罠に嵌り、人質となってしまう。松村は弟子を救うために敵陣に乗り込んで行く──そういう筋である。

「5分に1回のアクション」というのが売りで、武田梨奈は実際に空手大会での優勝の実績を持っている。そういう意味での見応えは充分にある。

しかし、ともかく感覚が古いのである。

昭和時代に作られたものだと言われればそうかと思ってしまう。しつこく出てくるビル街の上空からの空撮、雲が流れて行く映像、そして音楽や効果音のあしらい方など、如何にもありきたりで新味がない。悪者が全員黒い衣装と言うのもあまりに紋切り型ではないか?

カメラは人物の周りを回るか、人物の顔に一気に寄って来るしかない。

様式美というものは得てしてそういうものだと承知はしているが、もう少し画作りで驚かせてくれないかなあと思う。

空手のシーンでは一度通常のスピードで見せておいて、それをスローモーションで再生するという手法が何度も何度も出てくる。そうやって見せると、ごまかしようもなく本当に蹴っているし、それはそれですごいのだが、うーん、見てるとなんだかこれは空手の教則ビデオである。

女子高生のアクションものというのは今どき珍しいものではない。しかし、ここまでの「本物」は珍しいし、それが主人公ひとりではなく敵方にもセーラー服やらなんやらで着飾った、本物の空手使いの女性が次から次へと出てくる展開も面白い。

だが、あまりにも空手に対する偏愛が強すぎて、これではドラマも薄っぺらくなってしまう。セックス・シーンを見せることだけを考えてそれを繋いだだけのポルノが面白くないのと同じである。

何故闘わざるをえないのかという必然性が描かれない。悪役たちは「15年前の恨み」などと口走るのだが、15年前に何があったのかさっぱり解らない。だから、見ている者が引き込まれない。共感が生まれないので空手アクションが他人事に見えてしまうのである。

だが、恐らく作っている人たちはそんなことは百も承知なのだろう。恐らく「本物の空手映画」を作ることが最大の狙いであり、それを女子高生がやるというのが一番の売りなのだろう。

だから、嘘っぽいアクションよりずっと面白いという観客もいるだろうし、武田梨奈に萌える観客もいるだろう。そういうニッチな市場も確かにあるわけで、作るほうもそれを狙い、見るほうもそれで満足しているのならそれで良いという気もしないではない。

一般受けするってどういうことなんだろう。一般受けするってことをどう評価すれば良いのだろう──なんか、そんなことが分からなくなるような映画だった。

ただ、こういう作品と比べると、やっぱり(『古代少女ドグちゃん』や『ドグーンV』の総合演出を手がけ、『ロボゲイシャ』や『戦闘少女』を監督した)井口昇監督のエンタテインメント性って半端じゃないなあと、変なところで改めて感心してしまった。

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