「キネマ旬報」2月下旬号(1)
【2月7日特記】 「キネマ旬報」2月下旬決算特別号が発売になりました。さて、今年もまた去年と同じ形式で第11位以下の作品を総点検してみることにします。僕自身の2つの記事(12月29日付けと1月13日付け)の続編という形になります。
第11位(次点)が『武士の家計簿』であることは前回の記事に書きました。これは僕があとから考えなおして「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」に入れた作品です。まあ、やっぱり入ってきたねという感じですね。
第12位は『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』──これは嬉しいですね。これも僕が選んだ映画です。
そして第13位は『ゲゲゲの女房』。おお、これが入ってきましたか! いや、堂々たる文芸作品だったので選ばれてもおかしくない映画ですが、大ヒットしたNHKのテレビドラマと比べてかなり地味な作風だったので、こんな上位に来るとは思いませんでした。
第14位は『アウトレイジ』。これも良い映画でしたし好きな作品です。ただ、北野武という大御所の作品だったので今回は「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」から外したまでのこと。たけし映画のファンとしては納得です。
さて、第15位に『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』。これはちょっと驚きました。いや、この映画を高く評価した記事も読んだ記憶はあるのですが、あまり一般受けしないのではないかと高を括ってました。見終わって暗澹たる気分になる、やりきれない映画でした。いや、貶しているのではなく、そういう良い映画であったと思います。
そして、僕が去年の映画の中で双璧だと思っていた『春との旅』、『パーマネント野ばら』が漸く第16位と17位に並んで登場します。おや、こんなとこかい、という思いもありながら、ああ両作ともちゃんと20位以内に入ってきたか、とホッとしたという気持ちのほうが強いです。
第18位は『レオニー』。って、これ何ですかね? 全く知りません。全くノーマークでした。──と思って調べたら、ああ、イサム・ノグチの伝記映画ね。これって「日本映画」の範疇に入るんですね。確か台詞は英語ではありませんでしたっけ?
第19位は『最後の忠臣蔵』。これも見てません。まあ、いつも書いていることですが、僕は時代劇はあまり見ないので。
そして第20位が『今度は愛妻家』。これも既に名をなした監督という理由で僕が外した作品。でも、良い映画でしたもんねえ。ちゃーんとここに入ってきたか、という感じです。
さて、以上をもって集計すると、僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」のうち7本が実際にランクインしたことになります。昨年・一昨年はともに6本だったので、今回は好成績で、非常に満足です。
逆に僕が選んでキネ旬の20位以内には選ばれなかったのは、『さんかく』、『ちょんまげぷりん』、『ばかもの』という、偶然ではありますがタイトルがひらがなの映画3本です。
そのうち『さんかく』は第21位、『ばかもの』は第27位という、それぞれ好位置につけているのですが、なんと信じられないことに『ちょんまげぷりん』は選外です。これが今回の一番の意外でした。中村義洋監督のもう1本『ゴールデンスランバー』は第29位に入っているというのに! あれよりはこっちのほうが良かったと思うんだけどなあ。
まあ、気を取りなおして、以下例年通り、僕が見た映画の順位だけを追って行きますと、まず第21位が前述の『さんかく』。この映画をちゃんと評価してくる辺りがキネ旬ですね。とても嬉しいです。
そして第23位に『行きずりの街』。ちょっと意外。僕は結構気に入っていたのだけれど、あまり芳しい評も見聞きしなかったので。思ったよりも少し評価が高い感じ。
第26位に『オカンの嫁入り』。地味な映画が高評価。大竹しのぶも宮﨑あおいも素晴らしかったし、異存はないです。
第27位、29位にそれぞれ前述の『ばかもの』、『ゴールデンスランバー』。第31位に『武士道シックスティーン』──これも妥当な評価ですね。
第33位タイに『パレード』と『ボーイズ・オン・ザ・ラン』。前者はともかく後者はキネ旬らしいチョイスだと思います。
第38位に『時をかける少女』。お、これは思ったよりも評価が低かったですね。ちなみに、それに次ぐ第39位に『ノルウェイの森』が入っています。これはこれから観るつもりにしています。
第41位に『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』。これは僕は結構好きだった作品で、周りのみんなに眉をひそめられてたんですが、結構良いところにランクされているではないですか(笑)
第45位に安藤モモ子監督のデビュー作『カケラ』。うーん、これはもっと上位に入ってくると思ったけどなあ。とても才能のある監督だと思ったんですが…。あの終わり方が受けなかったんでしょうか?
ところでこの『カケラ』ですが、キネマ旬報2月決算特別号に綴じこんである日本映画採点表では誤って第45位と86位にダブルで掲載されています。点数がこの2つに分散したようではなく、どうやら第86位のほうが余分に記載されてしまったようです。
第47位に『トイレット』。これはレビューの時に書きましたが僕はあまり買いません。ただ、まあ、このくらいには入ってくる映画だとは思います。
第49位タイに『板尾創路の脱獄王』と『ボックス!』。前者がちゃんとランクインしてくるところが笑けますねえ。いや、面白い映画でした。後者はちょっと意外。ちっとも悪い映画とは思わないけど、わざわざ投票するような映画とも思わなかったので。
第52位に『人間失格』、54位に『座頭市 THE LAST』、56位に『鉄男 THE BULLET MAN』、ここらはまあこんなもんかなあという感じで、あまり感慨はありません。
そして第60位に、これは僕は今年になってから見た映画だったので対象外だったのですが、『アブラクサスの祭』が入ってきました。こういうのがちゃんと選ばれてくるのも嬉しいです。
あとはパラパラという感じで、第64位に『乱暴と待機』。一時は10本のうちの1本に選ぼうとした作品ですが、まあ冷静に考えてみれば、うん、まあ、こんなもんっすかねえ。
第79位に『雷桜』。えっ? これはちょっと失敗作だったかなあと思ってたんですが…。廣木隆一にこういう映画を撮らせるのは少し気の毒かなあという風に感じました。
第92位タイに『ソラニン』、『東京島』、『ハナミズキ』。いずれももっと上に来ても不思議はない映画だといます。特に『ハナミズキ』が『ボックス!』や『雷桜』より下ってのは如何なものかと思うのですが…。
今年のキネ旬はあまり票がバラけておらず、この92位タイ(集計ミスがあるので多分実際は91位タイだと思いますが)に入った11本で終わりです。
さて、このあとは例年通り「思い入れ度」と「一般受け度」を両軸とした分析記事を書きます。2~3日中にはアップできると思いますので、乞うご期待。
【2月16日追記】 2月8日付でキネマ旬報がお詫びを発表していた。どうやら僕が見つけたよりも遥かに多くの間違いがあったようだ。詳細はここ。
しかし、それにしても、間違いをメールフォームから教えてあげたのに、ホームページで冷たく発表しただけで、お詫びのメールもお礼のメールもない。
読者対応としては非常にお粗末である。
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