映画『ナルニア国物語 第3章 アスラン王と魔法の島』
【2月26日特記】 映画『ナルニア国物語 第3章 アスラン王と魔法の島』を観てきた。今回はディズニーではなく 20世紀FOX の配給である。そして、このシリーズでは初の 3D である。
我ながら恐ろしい気がするのだが、もはや 3D を見てもちっとも驚かなくなってきた。もちろん作る側の技術の進歩もある。しかし、見る側の慣れもある。
専用の眼鏡をかけているという意識も既にない。でも、ときどき、ああ綺麗だなと思い、これが 3D であったことを思い出す──そんな感じである。
今回は4兄弟姉妹のうち下の2人しか登場しない。いや、正確に言えば、4人とも映画には登場するが、ナルニア国には行かない。映画も終わりかけになって漸く気づいたのだが、大人になるとナルニア国には行けなくなるのである。
そのかわり、ルーシー(ジョージー・ヘンリー)とエドマンド(スキャンダー・ケインズ)の従兄弟であるユースチスが出てくる。このユースチスを演じているウィル・ポールターという、鼻の穴の大きい新人俳優が却々良い。
ユースチスもまたルーシーとエドマンドと一緒に、巻き添えみたいな形でナルニア国に行ってしまい、カスピアン王(ベン・バーンズ)の軍勢に加わるのだが、元来プライドだけは高いが性格のひん曲がった少年で、勝手な行動をとっては仲間たちを危機に陥れる。
まるで『宇宙家族ロビンソン』のドクター・スミスみたいな(例えが古すぎて分からんかw)古典的な設定のおいしい役回りで、良いアクセントになっている。
そして、ユースチスのライバル的な役回りで、この映画のレギュラー・メンバーであるネズミの族長リーピチープ(CGキャラ)を配しているのだが、これがまた漫才のボケとツッコミのコンビになっていて楽しい。
ただ、まあ、ストーリーとしては今までで一番面白くない。いや、そこそこ面白いし楽しんで見られるのだが、残念ながら意表をつくようなところがないのである。ワクワク・ドキドキが少し足りない。予定調和はお見通しなので、途中もう少し激しく外してほしいなあという気はする。
こう言うとアレだが、やっぱり『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』と比べると作品的に少しエネルギーに欠けると言わざるをえない。うん、やっぱりちょっと「子供騙し」という印象は残る。
ただ、子供騙しであっても、それに子供が騙されて、それで生きる勇気を与えられるのであれば、それはそれで良いではないかという気もする。これはお伽話なのだから。
随分とお金と手間をかけたお伽話である。映画ってそういうことをやる時代になってきたのだなあ、いや、もうしばらく前からそうだったか、などと何だかしみじみと思ってしまった。
世界中の子どもが待っているのであれば8作全部を映画化すれば良いのではないだろうか。結局僕も全部観るのかもしれないし。
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