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Wednesday, December 29, 2010

回顧:2010年鑑賞邦画

【12月29日特記】 今年も押しつまってきたので、恒例の「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」という記事を書いてみる。

今年映画館や試写会で見た邦画は52本(『七瀬ふたたび』の『プロローグ』も監督が違うので1本とカウントしている)。ちなみにこれは僕の新記録である。試写会が多かったせいもある。

で、毎年同じことを書いているのだが、これは「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入るであろう」ではなく「入ってほしい」映画10本であり、『キネ旬ベストテン』を選んでいるのは、数ある映画賞/ランキングの中でこれが僕と一番相性の良い評価であり、信頼している賞だからである。

振り返ってみると、今年の邦画はとても粒ぞろいでレベルが高かったと思う。この中から10本を選ぶのは至難の業であった。

で、どうせ難しいのであれば、誰もが納得する予想ではなく、如何にも僕らしい選抜がしたいなどと考えながら(ま、毎年そういうことは意識はしているのだが)、選んだ10本は下記のとおりである。

これまた毎年書いていることだが、これは僕が高く評価している順ではなく、観た順番である。

  1. パーマネント野ばら
  2. 春との旅
  3. 川の底からこんにちは
  4. さんかく
  5. ちょんまげぷりん
  6. 悪人
  7. 十三人の刺客
  8. 武士の家計簿
  9. 酔いがさめたら、うちに帰ろう。
  10. ばかもの

なお、今年観た映画の中には『あしたのジョー』と『ランウェイ☆ビート』が含まれるが、この2本は来年公開の映画なので今年のランキングからは一応除外しておいた(除外していなかったら選んだかどうかは別問題)。

今年見落として残念に思っている映画としては『ロストパラダイス・イン・トーキョー』がある。また、『ノルウェイの森』はまだ観ていない。

さて、その上で10本選ぶ上で迷った作品はたくさんある。

賞取りレースの下馬評高い『告白』はあえて外してみた。あれはまことに中島哲也監督らしい創意工夫に富んだ作品だと思うが、中島監督のベストでは決してないと僕は思っている。

あとは『今夜は愛妻家』、『ヒーローショー』、『武士道シックスティーン』など、同じく既に名のある監督の、良質の作品が多かった。それから新人ながら安藤モモ子監督の『カケラ』も久しぶりに「才能」という言葉を思い出させる佳作であったが、これはまだ「次作に期待」ということで良いかなと思って外した。

それ以外に迷った作品としては『乱暴と待機』。これは実は最初は選んでいたのだが、同じような作品ばかりが並んでしまったので、ちょっと趣向を変えるためにこれを外して『十三人の刺客』を入れてみた。

では、選んだほうの映画の話に移ろう。

まず、誰にも異論がないというところから言えば2)だろう。特に何も語る必要はないと思う。この映画を観た人ならこの映画を選ぶと思う。そして、キネマ旬報の審査員ならこの映画を観ていると思う。

それから6)だろう。モントリオールで賞を獲ったという効果は『おくりびと』の時と同じように大きく働くと思う。そして、実際に画の力が非常に強い、印象的な映画だった。

そして、三池崇史監督の7)。僕としてはこれを選んでしまうのはあまりに真っ当すぎて面白くない気もしたが、まあ、でも、これは確実にいろんな賞やベストテンに入ってくるだろう。痛快娯楽時代劇なんだけど、随所に三池監督らしい刺がある。

さて、それ以外はかなり意見が割れるのではないかな。いや、割れると言うより、僕が孤立するかもしれない(笑)

今年の僕のベストは1)か2)だと思っている。1)はクズみたいな人間たちに対してとても優しい映画だった。仰天するような人物を造形して、それでいて人間の普遍を描くような巧さがある。最後のタネ明かしも良かった(これは『今度は愛妻家』にも通ずる)。

4)もともかく巧い映画だった。そんな馬鹿なと思わせる設定を台本の力で現実性を持たせた。バツの悪い感じが見事に出ていた。特に縦に並べた構図が印象的だった。

1)も4)も乱暴に言ってしまうとダメ人間の話だが、あと3本、3)9)10)も同じような落ちこぼれの話である。

今年の僕はダメ人間の映画ばかり選んでいるわけだが、要はそのダメな人間をどれだけ冷静に観察して、どれだけ甘くならずに描けるか、しかし、その背後にどれだけの優しさがあるかがポイントなのではないだろうか。

9)も10)もともにアルコール依存症絡みの壮絶な話であるが、決して悲惨一色に塗りつぶしていないところが偉いと思う。

3)はさながら満島ひかりワンマンショーであった。あまり画で語るという感じがなかったけれど、台詞の巧さでグイグイ押してくる映画であった。こんなパワフルな映画には滅多にお目にかかれないのではないか。

8)9)10)と今年最後に観た映画を3本選んでいるのは、最近観た映画ほど印象が強く残っているという当たり前の現象に引っ張られた面もあるかもしれない。そういう意味では公開時期が早かった『今度は愛妻家』、『パレード』、『人間失格』などは損をしているのかもしれない。

8)はまさに森田芳光監督の名人芸。

僕が選んでいるのは「20位以内に入ってほしい10本」であって「入るであろう10本」ではないので、井筒和幸や北野武の映画は選ばないでおいたのだが、この大御所の作品は選ばずにいられなかった。見事に練り上げられて構成された“脱時代劇”だった。

さて、最後に5)。これ、選ばれてほしいなあ。中村義洋って本当に上手い監督だと思う。そろそろ大きな賞をあげても良いのではないかな。特に今年は『ゴールデンスランバー』ではなく、この作品で賞を獲ってほしい。めちゃくちゃ面白かった。

さて、例年通り年明け早々のキネ旬の発表と“答え合わせ”をお楽しみに。今年は僕の思い入れはかなり空回りしそうな予感があるけど(笑)

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Comments

こんばんは。

『パーマネント野ばら』を入れ忘れていました。
ただ、個人的には『女の子ものがたり』の方が、
胸を締めつけられたという事実があります。

『さんかく』は応援したい作品ですね。
来年のことを言うと鬼が笑いますが、
こういう新しい才能では『婚前特急』が…。
4月公開です。ぜひ。

Posted by: えい | Saturday, January 15, 2011 at 00:17

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