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Sunday, October 10, 2010

『世にも奇妙な物語』20周年スペシャル ~人気作家競演編~

【10月10日特記】 CX の『世にも奇妙な物語』は僕の大好きな企画で、このブログでも何度となく取り上げている。10月4日(月)に放送された「20周年スペシャル ~人気作家競演編~」も当然録画してあって、それを先ほど見終えた。

しかし、なんでまた「人気作家競作」ではなくて「競演」なのだろう? ひょっとしてそれぞれの作家がそれぞれの作品にカメオ出演でもしていたのか?と見終わってから気になり始めたが、HP の解説を読むと、単に「人気作家×豪華キャスト陣による夢の競演」を縮めただけのようだ。フジテレビらしいいい加減(笑)

ま、それは置いといて、確かにかなりの人気作家と豪華キャストを揃えたもんである。今回のラインナップは以下の5編。

  1. 『厭な扉』 原作:京極夏彦、脚本:正岡謙一郎、演出:佐藤祐市
  2. 『はじめの一歩』 原作:万城目学、脚本:金子茂樹、演出:村上正典
  3. 『栞の恋』 原作:朱川湊人、脚本:坂元裕二、演出:岩田和行
  4. 『殺意取扱説明書』 原作:東野圭吾、脚本:金子茂樹、脚本協力:山浦雅大、演出:植田泰史
  5. 『燔祭』 原作:宮部みゆき、脚本:橋本裕志、演出:若松節朗

1)はあるホテルに1泊しただけで、「永遠の幸せ」が手に入るというお話。この「永遠の」というのがミソで、よくひねりの効いたオチである。さすがに人気作家を持ってくると違うなあ、という気がのっけからしてくる。

事業に失敗して今は失意のどん底のホームレスに江口洋介、実際にそのホテルに一泊して永遠の幸せを手に入れ、そしてそのホテルへの招待状を江口に渡す老人に笹野高史というキャストである。

2)も面白い。なにかにつけて慎重で「まず初めに」が口癖の大野智、そして、その大野と5年もつきあっているのに未だにプロポーズのことばを言ってもらえない同僚OLに田中麗奈。そこへひょっこりと伊東四朗扮する縁結びの神様が現れて、という妙な展開。

単なるラブ・ファンタジーかと思いきや、これもラストにひとひねりあって楽しめる。なるほど万城目学か、という感じ。

しかし、大野智を見ると、もう怪物くんとしか思えないのが困ったところ(笑)

そして3作目は朱川湊人。これも作家の力量を感じさせる。古本屋にあった1冊の古本に挟んであった栞に「Y.T.」のイニシャル。その彼に恋をした堀北真希が自分の心を別の栞に書いて挟んでおいたら、次に見たときには「あなたは誰ですか」という彼からの返事が。そして2人の間で栞による文通が始まる。

この編だけは坂元裕二という大御所の脚本家を起用している。演出の岩田和行も共同テレビジョン所属で『世にも奇妙な』をたくさん手がけている人だ。なんか力が入ってる感じ。

そして、この編だけが舞台が現代ではなく GS ブーム初期の1967年である。堀北真希は酒屋の御用聞きで、タイガースのサリー(岸部修三)が大好きという設定。その岸部一徳が古本屋のオヤジで出てくるところが面白い。

しっとりとした抒情詩である。少し視聴者を騙す展開もちゃんと用意されている。いい作品だと思った。

4)は多分東野圭吾の取扱説明書全般に対する悪意を作品化したものだろう。もっともっとコミックな方向に推し進めて行けば良かったのにという気がするのがだが、こういう殺伐としたところへ辿りつくのが如何にもこの作家らしいとも言える。

玉木宏と塚本高史は同じ広告会社に勤務する同期のライバル。ところが今では塚本が花形クリエイタであるのに対して玉木は総務部に異動してしまっている。その玉木が会社の棚の隅で「殺意取説」なるものを見つける。

「なんだこれは」と思いながらどんどん読み進んでしまう。まず、殺意の対象は誰にしようかというところから始まって彼は塚本こそ殺したい相手だと気づく。その後は玉木が取説に翻弄される面白い展開になるのだが、何度も書くけどそういうオチかよ、という感じはする。

演出はこれまた『世にも奇妙な』の常連、植田泰史(共同テレビジョン)である。

最後は超大物・宮部みゆき。念力放火能力を持つ少女の話。あ、読んでないけど、なんかそんな小説あったよな、と思い出した。そこではたと気づいたのだが、ここにある5編はてっきり書き下ろしだと思っていたのだが、どうやらそうではないようだ。そういうのに「人気作家競演」と謳う、やっぱりフジテレビらしい、ちょっと胡散臭さを感じないでもない(笑)

さて、その念力放火能力を持つ女に広末涼子。妹を殺され、犯人に対する復讐心と怒りに囚われてしまった男に香川照之。この2人が結びつく。

ただ、この編は、うーむ、ひねりもオチも何もないんですよね。ただ主演の2人の演技に見とれ、脚本の余韻に浸る。悪くはないんだけど『世にも奇妙な』という感じではなかった。ま、原作がデカ過ぎたんでしょうね。

しかし、全体を通じて、最近やや手詰まり気味だったこの番組が、人気作家の手で少し盛り返した感はあった。今後の作品にも引き続き期待したい。

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