イヤフォンの穴
【8月23日更新】 この2ヶ月ほど SONY の Walkman の日本での売上が Apple の iPod を追い抜いたという記事を読んだ。SONY 派としては嬉しいことである。もっとも、常に少数派に属することに喜びを感じる僕としては複雑な気分ではあるが。
なぜ「複雑」か?
SONY ユーザとしては Walkman 利用者が少数派であることに、僕みたいな人間は喜びを感じるのであるが、かと言ってあまりに少数派に陥ると商品自体が市場から駆逐されてしまい、かつてのβビデオ・ユーザの悲哀を味わってしまうことになるからである。
だから、本来的には、製造中止に追い込まれない程度に売れていれば良いものを、トップシェアにまでなってしまうのはちょっと悲しい気もするのである。
まあ、ただ、僕が最初に iPod ではなく Network Walkman を選んだのは、僕のほしい楽曲が iTunes よりも Mora のほうが圧倒的に多かったからであり、この点は今も変わらないので、この事情が変わらない限り、そして、一旦 Walkman=Mora で集め始めた限りは、SONY 陣営には生き残ってもらわなければならず、だからこの際トップシェアであっても許してやろうという感じなのである。
ところで、この Walkman を見ていていつも思うのは、イヤフォン/ヘッドフォンの役割は随分変わったなあということ。
今の Walkman はイヤフォン/ヘッドフォンを挿していないと音は聞こえてこない。昔のカセット・レコーダーは、本来的にスピーカーから聴くものであったが、他人に聞かれたくない場合のみイヤフォン/ヘッドフォンを挿入するものであった。
だから、ノリノリでラジカセを聴いている友だちの背後から忍び寄って、いきなりイヤフォン/ヘッドフォンのコードを引っこ抜くといういたずらが成立していた。友だちは自分の耳から入ってきてた音楽がいきなりくぐもってしまい、その自分の聴いていたものがそこら辺の人にダダ漏れになるという恥ずかしさを味わった。
今、そんなことをしても、機器自体から音楽は全く漏れてこない。引っこ抜かれた友だちのまともな怒りを買うだけである。
イヤフォン/ヘッドフォンの役割は随分変わったなあと思う。僕はイヤフォン/ヘッドフォンのジャックの挿入口を眺めていると、いつもこのことを思い出し懐かしくなるのである。
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