『みつばちハッチ』マスコミ試写会
【7月8日特記】 『みつばちハッチ』のマスコミ試写会に行ってきた。
もちろん仕事絡みで見に行ったわけだが、完全に子供向けの作品なので論評するのが難しい。かなりの低学年/低年齢をターゲットにしているのでなおさらである。
大人が見てもついつい引き込まれてしまうような映画ではない。どちらかと言えば子供騙しである。
ただ、子供が見るにふさわしいシンプルでストレートな筋を丁寧に描いてある。ひたすら母を恋い友を思う一途なハッチと、次第にそれに感化されて行く周りの虫たちや人間の少女の物語である。
小山薫堂がどういう思いからこのアニメーションのリメイクを企画したのかは分からない。ただ、このアニメーションは一斉を風靡したと言って良い作品である。そして、スポ根もの全盛の時代に、あえて自然と昆虫であり、愛情をテーマにする異色かつ良質のアニメーションだった。そして、僕にも小山薫堂にも、こういう物語に敏感に心動かされた時代があったことは確かだ。
残念ながら僕は『みなしごハッチ』のファースト・シリーズが始まった時には少し大きくなりすぎていたのだが、小山薫堂の場合は幼稚園から小学校に上がる頃にぶつかっている。それが彼の心の深いところにこの作品がいつまでも棲みついていた理由だろう。
ただ、少し大きくなりすぎていた僕でさえ何度かテレビで見た記憶があるし、拾ってきて飼い始めた雑種犬に「みなしごだから」という理由でハッチと名づけたりもした。それほど大きな作品だった。ある意味、その大きな作品に小山薫堂が渾身のエネルギーを注ぎ込んだのが今回のリメイクなのであろう。
その思い入れのお陰なのか、幼児には安心して、かつ自信を持って見せられる映画に仕上がっていることは間違いない。最新の作画技術に比して驚くような手法は見えないが、衒うことなく、丹念に愛らしく、そして色彩豊かに描かれている。
小さなお子さんがいらっしゃるのであれば、是非連れて行ってあげれば良いのではないかと思う。
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