バルニエ
【7月6日特記】 考えてみたら、僕みたいな者でも好きな食べ物はいろいろあって、そして時代年代とともに結構変遷している。
例えば、オリーブは今、僕の好物である。オイルも好きだが実も好きだ。しかし、オリーブの実を初めて食べた時の自分の拒否感もまた記憶にしっかり残っている。
それは大学時代に何を思ったか飲んだマティーニのグラスに沈んでいたものだ。果実だからきっと食えるのだろうと口に含んで噛んでみて、あまりの味に痺れそうな気がした。
あれは小さい頃、食卓に蕗(フキ)の煮物が出てきた時に、「なんで大人はこんなもの食べるのだろう?」と思った感覚にそっくりだ。その後も何度かオリーブを食べる機会に出くわしたが、感想は同じだった。
それがいつの間にか、好んで食べるようになった。いつ、何が契機になって「嫌い」から「好き」に転じたのかは記憶にない。
蕗はいまだにそれほど好きではない。が、あれば食べる。季節を味わう感覚はある。
思い起こせば、幼少の頃は嫌いな野菜が多かったが、今はたいていの野菜は好きである。嫌いなのはアルファルファくらい。なんでそんな風に変わってくるんだろう。
不思議だなあと思いながら、今日もナッツの形をしたバルニエという種類のグリーンオリーブの塩漬けを見つけて買ってきた。
今美味しければそれで良いような気もする。
昔の正反対な記憶を辿りながら食べるのも、それはそれでまた良いような気もする。
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