京都国際マンガミュージアム『フィギュアの系譜 土偶から海洋堂まで』
【7月11日特記】 京都国際マンガミュージアムに行ってきた。いつから京都にこんなものがあるのか全く知らなかった。地下鉄烏丸御池駅からすぐ。
まんが図書館として約30万点のまんが資料を所蔵し、みんなゆったりと腰掛けて読み耽っている。懐かしいものがたくさんあった。ワークショップや教室なども盛んに開催しているらしい。館長は何と養老孟司氏である。
僕も似顔絵を書いてもらおうかと思ったが、画のタッチが今イチ好みでなかったのでやめた。
で、僕がここを訪れたのは漫画を読むためでも似顔絵を書いてもらうためでもなく、特別展『フィギュアの系譜 土偶から海洋堂まで』を見るためである。
本物の土偶から始まって、こけしやフランス人形、バービー人形、リカちゃん人形、超合金やキン消しから海洋堂のフィギュアに至るまで、ものすごく長いタイムスパンの展示である。で、土偶というのはもちろん古代の土偶を指しているのだが、一方で『古代少女ドグちゃん』をも意識した表現なのである。
今まであまり門外に出ることがなかった江口寿史版のドグちゃんのポスターが展示され、海洋堂の超有名な職人さんがその江口版ドグちゃんのフィギュアを作っているところを訪れてのインタビュー映像も流れている。
ここに写真でも掲示できればその雰囲気が伝わるだろうと思うのだが、著作権の関係でそれができないのが残念である(上のリンクをたどって本家本元の HP を見てください)。
僕がこの企画で一番感心したのは「土偶は太古のフィギュアだった?!」というコピーである──卓越した見方だと思う。
誰かが twitter で「ふくよかな女性の土偶が出土すると、必ず“豊穣の実りを祈願したものである”との解説がつくのだが、どうして“性の対象であった”という解釈にはならないのだろう」と書いていたけど、なるほどなと思う。
この特別展でも、江戸時代に大人のくせに子供のように人形を収集する者たちが自らを「大共」と呼んでいたという記事が紹介されており、それが今で言うフィギュアであると書かれていた。
土偶=宗教上の偶像、人形=子供のおもちゃ、という固定観念を打ち破るものがこの特別展のいたるところにある。
性の対象であったか収集の対象であったか、はたまたその両方であったかどちらでもなかったかは、今となってはもちろん定かではない。ただ、古代の出土品を全て原始宗教と関連付けるのはひょっとしたら本当に間違っているのかもしれないという気がしてきた。
土偶がフィギュアだったなんて楽しいではないか?
良い施設ができて、良い発想があって、良い展示会が開催されたものだと思う。
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