『iPad ミュージック・アプリで遊ぼ!』
【6月27日特記】 中村充時さんが主催する京都・洛東チャーチホールのイベント『iPad ミュージック・アプリで遊ぼ!』に行ってきた。
中村充時さんはワーナー・パイオニアを皮切りに、いくつかの音楽関連会社の、そして最近ではフリーのレコーディング・エンジニアとして活躍している人だ。手がけた主なアーティストとしては中森明菜や難波弘之、スターダスト・レビューなどがあり、また、ゲームや映画の BGM でも知られている。
また、中村さんは本職の牧師であり、今日のイベント会場となったのは、彼の居所であり、教会であり、かつイベントやレコーディング用のホールでもある「洛東チャーチホール」である。
本日のメニューは5つ
- 洛東チャーチホールのオーディオ設備の紹介
- iPad と iPhone の音質比較
- iPad / iPhone 用シーケンサー・アプリ iSequence の使い方実例紹介
- 音楽業界標準の Digital Audio Workstation であるプロ・ツールズ HD3 を使ってのミックスダウン講座
- 電子楽器「メロトロン」の紹介
である。
特に凄かったのは最後の2つ。
ミックス・ダウン講座のほうは、中村氏が最近ミックスダウンを手がけた esq(元スターダスト・レビューの三谷泰弘)の『The City』を実例にして、三谷氏から送られてきたオリジナル音源が CD となって発売される音になるまでをかいつまんで実際にやってくれた。
はあ、プロのミキサーというものは、こんなことを考えて、そんなとこを聴き分けて、あんな風に作業して行くのか、と大変驚いた。そして、とても興味深かった。
そして、最後に会場にメロトロンが運び込まれた。僕も音は聴いたことがあるが、見るのは初めてである。そして、どういう仕組で音が鳴っているのかを聞いて仰天した。実際蓋を外して内部を見せてもらって2度びっくりした。
鍵盤の数だけオーディオ・テープが入っていて、電源を入れるとそのテープが一斉に(と言うか1本のシャフトで)回り始めるのである。そして、そのテープには、今で言うサンプリングされた音源が入っていて、鍵盤を押えるとテープがヘッドに接触して音が鳴るのである。
鍵盤を離すとバネでテープが戻るのだが、テープは7秒分しかない。従って7秒以上のロング・トーンを弾いたらえらいことになるのである。また、和音も3声までにしておかないと音のバランスがひどいことになってしまう。何とも言えない原始的な楽器なのである。
で、音色を変える場合はテープごと、と言うかテープが巻きついたシャフトとヘッドのセットごと交換するわけだが、これがもうまるで養蜂業の人が巣箱から蜜いっぱいの板を取り出す姿と同じである。
そうやって音色を変えて弾いてもらうと、ビートルズの Strawberry Fields Forever のイントロはなんとレコードと全く同じである。
ああ、面白かった。
今日みたいな経験は却々できないと思う。とても充実したイベントだった。
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