かんぴょうって何?
【5月17日特記】 海苔巻きを食べていてふと思った──かんぴょうって何?
何か植物由来の食べ物だろうという見当はつくが、考えてみたらちゃんと知らない。イメージとしては、何かを煮て溶かして、型に流しこんで固めて、それを乾燥させたもの、みたいな気がするが、本当にそれで合っているのか? 元は一体どんな形をしたものだったのだろう?
漢字で書くと「干瓢」だから、ひょっとして干した瓢箪(ひょうたん)なのか?
急に気になって、手許にあった食品成分表で調べてみると、こう書いてある。
ユウガオの熟した実の白い果肉を、帯状に削って干したもの。濡らして塩で揉み、洗って茹でてから調味する。
なんと、夕顔である! 瓢箪ではないでないか!
気になって更にウィキで調べると、ユウガオはヒョウタン科であることが判って、その点は納得した。
しかし、何でそんなに面倒なことをしてまで食おうと思ったのか? 単に輪切りにして茹でたのでは駄目だったのか? ──多分固すぎるのだ。でも、それでも諦めずになんとか食べる術を編み出したのである。
固い皮を剥いてから機械で桂剥き風に削って行くらしい。それから干す。干したものを買って来て、水で少し戻して塩を加え、洗って茹でて、それから甘辛く煮る。
そう、それだけ手間がかかる上に、食べ方としては巻き寿司の具以外ほとんど思いつかない(もちろん、探せば他の料理法もあるんだろうが…)。
なのに決して消えてしまわず、結構重宝されている。専ら巻き寿司の具として、しかし不動の地位を得ている。
ビタミンはほとんどない。代わりにカルシウム、リン、鉄分などのミネラルを豊富に含む。特にカルシウムについては他の野菜やイモ類が遠く及ばないほどの量を含む。
そして、意外に多いのが糖質。かぼちゃを上回る。そう言えばほんのり甘いような気がする。だいたい甘辛く煮たものばかりを食べているわけだが、素材としてほんのり甘みを含んでいるような気がする。だから、寿司飯に合うような気がする。
もちろん気がするだけだ。でも、考えていると、だんだん僕は干瓢のような男になりたいような気がしてきた。
得体が知れなくて、皮が硬くて、手間が掛かって、にも拘わらず結構しっかり仕込まれていて、でもひと通りの役にしか立たなくて、でもその役は立派にこなしていて、実利的で、ほんのり甘い──そういう人に私はなりたい。
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