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Thursday, April 15, 2010

雑感:バスの中で

【4月15日特記】 僕は週に一度、母を見舞った日に必ずバスに乗るのだが、その度にバスの乗り方、と言うかエチケットが変わったのだなあと痛感する。毎週乗っているから解っていることなのだけれど、それでもバスに乗る度に世の中が変わったのだなあと改めて思うのである。

何かと言えば、「バスが動いている間は席を立たないように」「バスが停止してから席を立つように」というアナウンスと表示である。僕が乗っている阪神バスにはアナウンスと表示の両方がある。

昔は必ずバスが停止する前に席を立って移動を開始し始めたものである。それはバスが止まった時にできるだけ降り口に近いところまで行っておこうとしたからである。

バスが止まってドアが開いているのにいつまでももたもたしていたら、昔は露骨に嫌な顔をする運転手もいた。うかうかしているとドアを閉めて発車してしまうバスもあった。そして、そんな風にもたもた、うかうかしている人を見ると、同じ乗客として僕らは顔をしかめたものだ。

だから、運転手に嫌がられないように、うっかり乗り過ごしたりしないように、そして他のお客さんに迷惑をかけないように、僕らは停留所に到着する前に可能な限り前進して出口に近いところに行こうとした。もちろん小銭や回数券は既に片手に握りしめた状態で。

ところが今では車が止まるまで動くなと言う。乗客の安全面から考えれば当然である。しかし、僕はなんだか落ち着かないのである。

優しい世の中になったもんだと思う。ただ、優しい世の中が他人を顧みない人間を作り出しているのではないか、と思ったりもする。厳しい世の中には厳しい世の中なりに良い面もあったのである。

もちろん、あの当時の僕らが他人を思いやる能力を持った素晴らしい人間であったということではないのかもしれない。僕らはただ運転手に舌打ちされるのが嫌で、バスがすぐに出発してしまうことに慌てふためいて、そして他人からトロい奴だと思われるのがひたすら不愉快で、ただそんな風にネガティブな理由から早く出口に行こうとしただけなのかもしれない。

しかし、なんであれ、結果的には他人を気にし、他人を優先し、他人に利益をもたらそうという行動をしていたのである。考えてみれば、優しい世の中は優しくないメンバーを、厳しい世の中は優しいメンバーを育てるという面もあるのかもしれない。

──などと、ついついそんなことまで考えてしまうのである。

この優しい世の中でどんな風に生きて行ったら良いのだろう? それは却々厳しい問いであるような気もする。

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