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Sunday, April 11, 2010

CX『世にも奇妙な物語』

【4月11日特記】 録画しておいた CX『世にも奇妙な物語』(4/4(日)21:00~23:09)を観た。

この特番は、毎回とは言わないまでも、かなり見ている。それはそもそもこういう企画が好きだということもあるが、それ以外に、新進の有望な脚本家を発掘する楽しみがあるからである。実際、ここで書いていて、後にブレイクした作家も何人かいる。

ところで、今回は20周年スペシャルということで、5つのストーリーが全て CX の何がしかの番組を織り込んだ形になっているという趣向である。先にラインナップを示すと、

  1. 『ニュースおじさん、ふたたび』
    主演:香里奈 脚本:保田良太
  2. 『ナデ様の指輪』
    主演:塚地武雅(ドランクドラゴン) 脚本:大久保ともみ
  3. 『もうひとりのオレ』
    主演:藤本敏史(FUJIWARA) 脚本:丸茂周
  4. 『まる子と会える町』
    主演:西田敏行 脚本:正岡謙一郎
  5. 『台詞の神様』
    主演・脚本:三谷幸喜

例えば、1)では香里奈が『めざましテレビ』のリポーター役である。2)と3)では『爆笑レッドカーペット』、『はねるのトびら』の実際の出演者である塚地武雅と藤本敏史が主人公である。

こういうの、ま、企画としては解らないでもないのだが、結果的には失敗する可能性の方が高い。ただでさえ「世にも奇妙な話」を考えだすという高いハードルがあり、もちろんドラマとしての起承転結も必要なところに、余計な設定を加えて要素が増えすぎ、手に負えなくなってしまうのである。

4)などはリストラされた西田敏行が『ちびまる子ちゃん』の世界に行ってしまうという設定で、ドラマの途中から実写とアニメの合成になる。発想としては「意欲的な企画」という褒め言葉を贈るべきものだとは思うが、実際にはそれほど面白くもない。

んー、何故こんなことしなければならないんだろう? 『世にも奇妙な物語』もネタ枯れ状態ということなのだろうか? こういう「企画もの」にすることによって掘り起こそうという、一種のカンフル剤的な試みなのだろうか?

しかしながら、CX の番組のもともとの出演者、しかもお笑いタレントを主人公にした2)や3)は、如何にも企画を狭めた感じがして、今イチ乗り切れない。

フジテレビにしてこれということは、日本のテレビ局全体がネタ枯れということなのだろうか、とちょっと寂しくなってきた。

ところが最後はやっぱりちゃんと締めてくれた。書いたのは新進気鋭ではなく三谷幸喜である。そしてコラボした番組はフジテレビ開局50周年記念特別企画、3夜連続ドラマ(今夜もやってる)の『我が家の歴史』である。

で、『我が家の歴史』の脚本を執筆中である三谷幸喜を三谷自身が演じている。

三谷は脚本のある箇所で良い台詞が浮かばず、もう2日間も悩み続けているのである。

その悩んでいるパートは実際の『我が家の歴史』のVTRで再現される。佐藤浩市が柴咲コウに夢を語るシーンである。佐藤がその夢を「一緒に見届けてくれ」と遠回しにプロポーズしたときの柴咲の返しに良い台詞が思い浮かばないのである。

そこへルームサービスの女性がコーヒーを持って来るのだが、これが柴咲コウに瓜二つの女性である(扮しているのは当然柴咲コウ本人である)。で、藁をも縋る気分でちょっと助言を求めてみると、なかなか芝居のことをよく解った女で、これが捨てたもんじゃない・・・。という展開である。

ま、結局どういう台詞にしたのかはここでは絶対見せないだろうなと思って見ていたらやっぱりその通りで、これではどうしても『我が家の歴史』を観て確かめたくなる。なかなか巧妙な直前番宣である。

で、この『台詞の神様』のほうも見事な肩透かしのオチで、やられた!という感じがある。さすがに三谷幸喜である。三谷幸喜本人を茶化すという、如何にも三谷幸喜らしい粋な脚本である。

という訳で、今回は三谷幸喜ばかりが目立って、めぼしい新進脚本家にはめぐり逢えなかった。

今度はこういう趣向を凝らしていないシンプルな『世にも奇妙な物語』を観たいものだ。

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