靴磨き考
【3月11日特記】 先日飛行機の出発が遅れたとき、上司はその間に靴磨きをしてもらったと言う。ああ、確かに伊丹空港の搭乗口に向かう手前左側に靴磨きコーナーがあった。しかし、あんなとこで磨いてもらう人がいたのか、とちょっとびっくりした。
僕の感覚では、小さい頃からゴルフと靴磨き(磨いてもらうほう)はお金持ちのお大臣のすることだと思っていた。ゴルフのほうは会社に入ってから期せずしてやってみることになったが、靴磨きのほうはいまだに未経験である。
安い高いの問題ではない。なんか偉そうな気がして抵抗があるのである。
で、まあ、それは別として、その話を聞いて久しぶりに靴磨きをした。そろそろ部分的に色褪せしてきたので磨かなければと思っていたことを思い出したのである。
僕がお金を払って靴磨きをしてもらわないのは上に書いたような抵抗感があるからというだけの理由ではなく、それは靴磨きが楽しいからである。
家事労働の中では創造的/生産的である料理が楽しく、それに比べて単に再生産的な掃除・洗濯・アイロンがけは面倒な部類である。そういう意味では靴磨きもそれほど楽しいはずがない。
しかし、例えば洗濯+アイロンという作業は衣服を前回着る前の状態に戻すだけだが、靴磨きはそれよりもずっと前の綺麗な状態に戻してくれるのである。磨けば皮が生き返ってくるのが楽しいのである。
まず、乾拭きして表面のほこりと汚れを取り除き、靴墨を塗り、水滴を少し垂らした後に布拭きして余分な墨を拭い、最後にブラッシング。この工程を終わると靴は見事に色と輝きを取り戻す。そこが何とも言えない。
今回は黒靴2足と、茶色の靴1足、それから脱ぎっぱなしで置いてあった妻の黒いブーツのつま先が禿げかかっていたのでこれもついでに磨き、それとは別に1足は靴墨を使わずミンクオイルを塗った。
見ている人は見ているもので、その後何日かの間に「靴ピカピカですね」などと指摘してくれる人もいる。だから喜びがある。やはり靴磨きは自分でするものだと思う。
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