「キネマ旬報」2月下旬号(1)
【2月7日特記】 「キネマ旬報」2月下旬決算特別号が発売になりました。さて、今年も去年と同じ形式で第11位以下の作品を総点検してみましょう。僕自身の2つの記事(12月24日付けと1月12日付け)の続編という形になります。
第11位が『のんちゃんのり弁』。これは正直言って驚きましたね。いや、確かに良い映画でした。ただ、少し軽いかな、やや小粒かな、という感じで、とてもこんな上位にランクされるとは思いませんでした。僕が選ばなかったのは、ひょっとしたら前作『いつか読書する日』のあの強烈な重さが頭の中に残りすぎていて、その反動だったのかもしれません。
第12位が『あんにょん由美香』。これは観ようかなと思いはしたのですが、結局パスしてしまった映画です。
第13位『嗚呼 満蒙開拓団』、第14位『ポチの告白』──この2本は全くノーマーク。今以てどんな映画だったのか全然知りません。
第15位は『大阪ハムレット』。これも、おおっ!という感じですね。松坂慶子、岸部一徳をはじめ、子どもたち3人も含めて役者はみんな良かったですが、展開がちょっと単調かなと思って僕は選びませんでした。しかし、それにしても、関西人にしか受けないのではないかと思ったのですが、15位に入ってくるとは立派です。
第16位が『重力ピエロ』。ああ、これが来ましたか。僕も「とても良い監督だ」と思いました。でも、その割にはそれほど「良い映画だ」とは思わなかったんですね。いや、作品にケチをつけようと言うのではありません。映画全体よりも監督の演出の方が印象に残った不思議な映画だったということです。
そして、第17位が『精神』。これもめちゃくちゃ評判になった映画ですが、僕はテーマ的にしんどそうなのでパスしてしまいました。
続いて第18位が『南極料理人』。あ、これってそんな良い映画だったんですか。ワンテーマじゃしんどいのかなと思ったりもして、なんとなくパスしてしまいました。
第19位が『私は猫ストーカー』。これも見てないですけど、まあ、いかにもキネ旬らしい映画が上位に入ってきてますね。ちょっとびっくり。
そして第20位に漸く僕が推した『フィッシュストーリー』が入ってきました。
その結果、前の記事との関係で総括すると、僕が「キネマ旬報ベストテン20位以内に入ってほしい」として選んだ10本のうち10位以内には5本入ったんですが、11-20位が1本だけだったために、最終的にキネ旬の20位以内には合計6本でした。なんとこれは昨年と全く同じ形ではないですか!
そして6本的中というのも3年連続。僕が推した作品は10位以内には割合入るのですが毎年11-20位を大きく外してしまっています。
さて、以下例年通り、僕が見た映画の順位だけを追って行きますと、まず第21位に『カムイ外伝』。これも驚いたなあ。別に貶す気はないですけど、もうちょっと下でも良かったのでは?
第23位に『インスタント沼』。ま、順当な線かな。
一方第27位に『色即ぜねれいしょん』が選ばれているのはキネ旬らしくて嬉しくなりますねえ。僕も一緒に祝福したいと思います。
第29位タイに『ゼロの焦点』と『プライド』。ともにもう少し低いかなと予想していたのですが、堂々30位以内に入ってきました。僕としては満島ひかりのファンなので後者が高く評価されたことは大変嬉しいです。
そして漸く第31位に『わたし出すわ』。最近どうも森田芳光作品は高く評価されない傾向が強いように思ってしまいます。僕が根っからの森田ファンだからなのでしょうか?
第33位に『ヤッターマン』。ま、いっか(笑)。第35位に『おっぱいバレー』──これは興行的にも大失敗で酷評も多かったように記憶しているのですが、意外に高いところにランクされました。僕は嫌いな映画ではありませんでした。
第40位に『罪とか罰とか』。これは順当でしょうね。成海璃子があまりにも冴えなくて(まあ、冴えない役どころなので、それで良かったのかもしれませんが)ちょっと心配したほどでしたが、ケラリーノ・サンドロビッチ監督らしい、印象が長く尾を引く映画でした。
そして、第44位タイに『クローズZEROⅡ』、『BALLAD 名もなき恋のうた』。ま、そんなとこでしょうか。
第47位に『少年メリケンサック』──これはちょっと評価が低いように思いますね。やっぱり公開時期の早かった映画は少し割を食うのではないでしょうか?
第54位に『パンドラの匣』。なんとこれは僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」に選んだ内の1本です。まあ、期待を込めて選んだつもりなので、この順位でもそれほどの驚きはありません。この映画で川上未映子が新人女優賞をもらったことが1つの勲章になったので、それで充分な気もします。
そして、だいぶ飛んで第64位にやっとのことで『おと・な・り』が出てきました。これは大いに不満、と言うよりも、あまりの過小評価にびっくり仰天、開いた口が塞がらないという感じですね。10位以内に多分入ってくるだろうと読んでいたのですが、審査員の皆さん、あなたがたはひょっとするとこの映画を見てないんですか?
以下、第73位タイに『ガマの油』と『感染列島』──どっちも好きな映画でしたけどね。ま、こんなもんっしょ。
第78位に『蘇りの血』。これは豊田監督の次回作に期待。
第85位タイに『鴨川ホルモー』と『ロボゲイシャ』。後者をちゃんと選んでくるところが偉いと思います(もっと上位でも不思議はないのですが)。
第94位タイに『アマルフィ 女神の報酬』と『僕らのワンダフルデイズ』。
第100位に『ジェネラル・ルージュの凱旋』。おっと、同じ中村義洋監督でも『フィッシュストーリー』と大きく差がつきましたね。もう1つ100位タイに『MW -ムウ-』。
以上。
って、あれ? 『ホノカアボーイ』は? なんと僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい映画10本」の内の1本に選んだこの映画は第118位タイまでの合計127本の中に入っていないではないですか? こんなことって今までなかったことです。
2回見直しましましたが、やっぱりどこにも入っていません。つまり55人の審査員(10本選んでそれぞれの映画に10点~1点をつける)が1点たりとも投じなかったということです。
他に点数の入っている映画を見ると、どう考えても観た審査員が少なかったとしか思えません。映画の公開本数が増えてしまうとこういうことが起こるんですね(そういうことだと信じたい)。
こういう映画賞やランキングもどんどん難しくなってきているのかもしれません。
ではまた、来年のこの記事をお楽しみに(いや、皆さんが、ではなく、僕がw)。
★ この文章の続編がここにあります。
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