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Thursday, February 18, 2010

『NINE』マスコミ試写会

【2月18日特記】 映画『NINE』のマスコミ試写会に行ってきた。なかなか味わい深い。日本で当たるかどうかはちょっと解らないが…。

構造的にはいささか複雑である。まずイタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの映画『8 1/2』があり、それを「半歩進めて」ブロードウェイのミュージカル『NINE』が作られた。で、今度はそれを再び映画の世界に「戻した」形になっているのがこの映画である。

この味わいの深さは結局フェリーニに繋がっているというわけだ。

ストーリーとしては、すでに製作発表までしてしまったにも拘らず1字たりとも脚本が書けない名監督グイド・コンティーニ(ダニエル・デイ=ルイス)の苦悩と行き詰まり感を前面に、その背後でグイドの生い立ち(特に母との関係)や仕事と綯い交ぜになった複数の女たちとの情事を描いている。

歌って踊ってのミュージカルと言うよりも要所がミュージカル構成になっているという表現のほうが正確だろう。

前述の通り、元はブロードウェイ・ミュージカルであるとは言え、大元はイタリア映画であり、ヨーロッパの役者がたくさん出てロケ地もイタリアであるためにヨーロッパの香りが非常に強い。アメリカ人はこれをどう捉えたのであろうか?

そういう映画であるから、日本人からすればこれは完全に異郷の異文化の発露である。そこに魅力を感じるか感じないかが意外にこの映画の評価の分かれ目かもしれないと思う。

僕自身は、変な喩えだが林海象の映画を見ているような気がした。端的に言ってエキゾティシズムであり、ほんの少し外れると無国籍になると思う。「この映画を日本の俳優で日本でロケして撮るとすれば、やっぱり林海象なんだろうなあ」という、なんか不思議な感想を持ってしまった。

で、そういう異郷の異文化であることに加えて、原作が1963年の映画であるという古さもあって、今の日本人である僕にとっては、この映画のかなり重要な要素であるはずのセクシーさが全く感じられなかった。西欧のセクシーさである上に昔のセックス・アピールなのである。これはちょっと残念だった。

でも、そういう難点を吹き飛ばしたのがグイドの妻ルイザを演じたマリオン・コティヤールである。彼女がものすごく魅力的で印象に残った。

「え、単にそれはマリオン・コティヤールが好みのタイプだっただけじゃないの?」と言われればそれだけのことかもしれない。「そんなことで映画全体を評価してしまってるんだよ」と言われれば、それもまたそうかもしれない。

この映画の中でもそれっぽい台詞があったけど、結局我々はそんな風に映画を見ているのかもしれない。

そういう見方をする人たちにとっては、そういう偏った判断をするための材料が目白押しである(笑)。ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン、ソフィア・ローレン、ジュディ・デンチらの超豪華キャスト、そして歌とダンス、セット…。

カメラはやたら細かいカットの積み重ね。元が舞台であるならもう少し連続的な画を見せてくれても良かったような気もする。

まあでも、軽薄ではないエンタテインメントである。その辺りが非常に心地良い気はした。

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